だから言ったのに……という話です。
中国工場を拡張する路線に走った『SKハイニックス』
韓国の半導体企業『SKハイニックス』は中国・江蘇省の無錫と重慶にファウンドリーを持っており、ここでDRAMを製造しています。
先にご紹介したことがありますが、同社は無錫の工場を拡張すべく、2020年04月に3兆2,999億ウォン(約3,201億円)を中国法人に投入。これは、さらに微細工程の半導体製造が可能になるようにという意図があってのことです。
ところが、合衆国と中国の対立が先鋭化。
当時のトランプ大統領は中国に半導体を渡さないという戦術を始めました。そのため『SKハイニックス』の中国投資拡大路線は大丈夫なのかと懸念されていたのです。
中国にある工場にはリソグラフィー装置を供給させない
ここにきて『Reuters(ロイター』から、アメリカ合衆国が『SKハイニックス』の工場に最新の半導体製造装置、具体的にはオランダ『ASML』のリソグラフィ装置を導入させない動きをしている――という報道が出ました。
これまた以前からご紹介しているとおり、合衆国政府がオランダ政府に圧力をかけているため、『ASML』のリソグラフィー装置は中国への出荷許可が出ません。
韓国企業『SKハイニックス』が供給先であっても、中国にあるファウンドリーで使うのであれば出荷不可と判断したわけです。
半導体製造の根幹にかかわるリソグラフィー装置が導入できないままですと、『SKハイニックス』はDRAM製造に支障を来し、現在DRAMにおいて世界シェア2位の地位が揺らぐことになるかもしれません。
第1位 『サムスン電子』……44.0%
第2位 『SKハイニックス』……27.2%
第3位 『Micron(マイクロン)』……22.9%
上掲のとおり『SKハイニックス』のすぐ後ろには合衆国『マイクロン』が迫ってるのです。ちなみに『サムスン電子』と『マイクロン』は中国でDRAMを製造しておりません(『サムスン電子』は西安工場でNAND型フラッシュメモリーを製造)。
もし合衆国の動きが『ロイター』の報道どおりなら、ことが半導体についてだけに『SKハイニックス』の中国ファウンドリーは『ASML』のリソグラフィー装置を入手できないままでしょう。
だからあれほど……という話で、全くの自業自得で同情もできませんが、韓国半導体企業2強の片割れだけに、韓国経済への影響が心配です。
(吉田ハンチング@dcp)