韓国の『大宇造船海洋』は、下請け企業の労組によってドックを占拠されるという事態に陥っています。
『大宇造船海洋』の1番ドックは、超大型船4隻を同時に建造できるほどの巨大なもので、『大宇造船海洋』引いては韓国自慢の設備です。この施設が占拠されて使えないため、先にご紹介したとおり毎日「260億ウォン」が蒸発している、といわれています。
これは国家的な損失だというので、2022年07月18日、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は、韓悳洙(ハン・ドクス)国務総理(=首相)など政権高官とともに昼食を一緒にとって相談しました。
これを受けて、同日、秋慶鎬(チュ・ギョンホ)副首相兼企画財政部長官が、雇用労働部、産業通商資源部、行政安全部、法務部の長官と共に会議を行い、この占拠ストライキに対して警告を発しました。
↑スピーチを行っているのが秋慶鎬(チュ・ギョンホ)長官。左から2人目が尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領の秘蔵っ子である韓東勳(ハン・ドンフン)法務部長官です。
以下は、企画財政部が出したプレスリリースですが。上掲5人の長官の連名によるものとなっています。注目ポイントを和訳します。
(前略)
[大宇造船海洋企業の正常化の必要性]□大宇造船海洋はグローバル金融危機以後、造船業長期不況と分食会計事態で経営難を経験し、「2015年以降7.1兆ウォンの大規模な血税を投入し、構造調整を推進してきました。
しかし、依然として500%を超える高い負債比率(547%、22.3)と昨年1.7兆ウォン、今年第1四半期4,700億ウォンに達する大規模な赤字を記録するなど非常に難しい状況です。
(中略)
ㅇ過去7.15(金)司法省も集会禁止仮処分申請についての判断を通じて「正当な争い行為の範囲を超えた」と異例の違法性を明示しました。
ㅇこれまで国民は労組が対話の場に出るのに十分に待ちました。今こそ本当に違法行為を終えなければなりません。
(後略)⇒参照・引用元:『韓国 企画財政部』公式サイト「労働界懸案関係長官ブリーフィング開催」
『大宇造船海洋』がいかに経済的に困難な状況に陥っているかを示し、労組側の選挙が「不法なものである」という司法判断が出ていると述べています。
また、「今こそ不法占拠をやめるときだ」とも言っています。
要するにこれは、政府からの最後通牒です。行政安全部の長官も名を連ねているとことから見て、最悪の場合は強制排除まで考えているものと思われます。
尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領がそこまで指示をしたのか、また実行できるのかは分かりません。しかし、強制排除に踏み切ると、左派勢力からの強烈な反発が起こることが予想されます。
前の文政権は、大統領自身が運動圏出身のため、労働運動、学生の運動については容認してきました(その割には自分を非難するビラがまかれたときはその学生を提訴していた)。今回の件は、左派と保守政権の深刻な対立に発展する可能性もあります。
この騒動がどのように決着するのかは要注目です。
(吉田ハンチング@dcp)