韓国は台湾の動向を気にする国です。半導体産業がバッティングしており「負けたくないから」というのが、理由の一つですが、韓国は明らかに台湾に対して劣勢で、しかも負け具合が強まっています。
韓国は「世界に冠たる半導体強国」と誇りますが、それはメモリー半導体のみのことであって、システム半導体の開発、および製造では世界シェアはほとんどありません。また、車載用半導体などの専門性、つまりは経験が重要な分野についてもからっきしです。
「Chip4」の話もあって、「このままでは台湾に置いていかれる」という危機感が高まっています。
キーは対中国貿易です。
対中国の半導体輸出が鍵だ
中国は世界一の半導体輸入国で、半導体が輸入できなくなると干上がります。
中国自身がそれをよく分かっていて、(最近は隠蔽してすっかりなかったことになった)「中国製造2025」、また「半導体崛起」を唱えまして中国内企業に巨額の投資を行ったのですが、補助金詐欺の横行、合衆国の輸出規制によって、ほとんどうまくいっていません。
中国の半導体自活の動きはじりじりとした前進に転じており、いまだに中国は世界最大の半導体輸入国にとどまっています。
半導体は、韓国の主力輸出品の屋台骨を支えるようになっており、当然中国が最大の輸出先です。そのため、台湾にシェアを奪われたりするわけにはいきません。
ところが……。
台湾は対中国貿易でうまくいっているのに……
韓国メディア『ソウル経済』から韓国の嘆き節を以下に引用してみます。
韓国は4カ月連続で対中貿易赤字を記録したのに、台湾が黒字基調を維持する理由は半導体輸出の差のためだという分析が出た。
(中略)
一方、台湾は中国の封鎖措置と両岸関係の梗塞にもかかわらず、安定した黒字基調を維持した。
台湾の01~08月の対中輸出は831億ドルで、昨年同期より3.3%増加した。
このうち半導体輸出が51.8%の430億ドルで20.9%増えた。
システム半導体とメモリー半導体の輸出量がそれぞれ24.0%、17.8%と均等に増加した。
ナンシー・ペロシ下院議長の台湾訪問で中国が各種経済報復措置を加えたにもかかわらず、08月の台湾の大衆半導体輸出は21.8%増加した。
(後略)
台湾の絶好調ぶりを伝えていますが、それに比べてわが韓国は……というわけです。
「自分が至らぬせい」ですよ
台湾は世界最大のファウンドリーを有し、システム半導体の受託生産が絶好調で、韓国企業もそうならねばならない――というのが記事の主旨なのですが……そんなことを急に言ってもできません。
『サムスン電子』もそれなりにシステム半導体を設計・開発・生産してきたのですが、うまくいっていません。動作すると熱々になるAPしかできないのが現状です。またファウンドリーの微細行程についても台湾の『TSMC』に水を開けられつつあります。
簡単にいえば自分の技術力が足りないせいなので、台湾をうらやんだり、恨めしく思っても仕方がないことなのですが、言わずにはいられないようです。
(吉田ハンチング@dcp)