ドル高が続く中、極端に自国通貨が安くならないように通貨レートを守らなければならず、中央銀行はどこも大変です。香港で興味深い現象が見られます。
外貨準備高がどんどん減少しているのです。以下をご覧ください。
⇒参照・引用元:『香港金融管理局』公式サイト「財務データ月報」
見事な下り坂ですが、2022年01月には「4,925億4,000万ドル」あった外貨準備は、08月には「4,318億2,100万ドル」まで減少しました。
なんと「607億1,900万ドル」もなくなったのです。
なぜこんなに減少しているかというと、香港ドルがドルとペッグしているからです。ドルが強くなって、香港ドルの価値が下がるとその分ドルがなくなる仕組みになっているのです。
例えば、「1ドル=7.8香港ドル」のレートを維持したいとします。
これが香港ドル安が急進して「1ドル=10香港ドル」になったら……各銀行は、香港ドルで「1ドル=7.8香港ドル」のレートで発券銀行からドルを買います。そして、市場でドルを売って差額の「2.2香港ドル」を稼ぐのです。
市場では「ドル売り香港ドル買い」になりますので、ドルの供給量が増えてドル安方向に進行、目論んだ「1ドル=7.8香港ドル」に相場は収斂していきます。
このような仕組みでレートを維持するのですが、問題はドルが強くなればなるほどドルがなくなっていくという点です。
現在、外貨準備高はどんどん減少しているのはまさにそのためなのです。
(吉田ハンチング@dcp)