中国からの資金流出が巨額なものになっているという観測は以前からあります。
しかも統計に捉えられない「不法」な資金流出です。中国当局も表に出せないもので、『Wall Street Journal』はこれを、2024年の上半期時点で「2,450億ドル」と推定する記事を出しました。
↑『Wall Street Journal』の元記事。有料記事です/Googleの自動翻訳なので日本語がヘンなところがありますがご寛恕ください/スクリーンショット
“The Quarter-Trillion Dollar Rush to Get Money Out of China”(中国から資金を持ち出す2,500億ドルの急流)というタイトルの記事です。
個人の外貨購入は5万ドルまでに制限が掛けられていますが、中国富裕層は今も資金を海外に持ち出していると見られています。
どうやって資金流出の規模を推計するかというと、以下のようなデータを用いて推測します。
●国際収支(Balance of Payments)統計の分析
国際収支表では、資本の流入・流出、貿易収支、外貨準備の変化などが記録されます。
Money1でも以前ご紹介したことがありますが、国際収支統計の中の誤差脱漏(Errors and Omissions)という項目は、統計に捉えられない公式な資本取引以外の不明確な資金移動が含まれます。これに注目するのが一つの方法です。
●外貨準備の変動分析
外貨準備高の減少が急速に進行する場合、通常の輸出入や投資以外の要因で資本が流出している可能性が考えられます。
●国外旅行や海外資産購入のデータ
旅行や留学など、合法的な支出に見せかけて資金を国外に送金するケースがあります。
これに伴う支出が急増した場合、隠れた資本逃避(キャピタルフライト)です。また、海外不動産購入や第三国を経由した投資も資本逃避の手段として使われることもあります。
面白いのは、訴訟で負けたので賠償金を振り込む必要がある、といった際取い手すら利用されることです。
●フィナンシャル・フローの異常を検知する
銀行間の取引や証券市場の資金移動が通常の範囲を超える場合、統計上の不整合(statistical discrepancies)が発生します。これが資本逃避の兆候として認識されることがあります。
●民間企業や富裕層の行動
富裕層は、資本規制を回避するためにオフショア取引や暗号資産などを利用することがあります。これらの動きを含むデータから、推定される不法流出額を算出することもあります。
2,450億ドルというのはハンパな額ではありません。
『Wall Street Journal』の推定が正しいのであれば、習近平さんはじめ外交部、商務部がいくら「中国よいとこ、投資に最適」とウソを連呼しても無駄です。
外国人投資家は、もはやそんなウソにはだまされませんし、中国の富裕層は外国に金を逃がしているからです。つまり、いくらやってもザルで水を汲むようなものです。
中国当局がいくらお金をまいてもまったく効かないのは、資金が大量に漏れている(と推測される)のが理由の一つです。
なぜこれほど巨額の資金流出があるかというと、それはもう、みんな地獄のような中国からお金を持ち出し、その身も中国から脱出したいからです。
後に残るのは、やせ細った国民――という地獄絵図です。
(吉田ハンチング@dcp)