2023年06月22日、『韓国銀行』が「Balance of Payments by Region, 2022(preliminary) June 202」を公表しました。これは「2022年の地域別の国際収支統計」です。
非常に興味深い内容なのでご紹介します。
まず、地域ごとにまとめた経常収支ですが、以下のようになります。
2022年 経常収支
対アメリカ合衆国:677.9億ドル
対中国:-77.8億ドル
対日本:-177.8億ドル
対EU:70.4億ドル
対中東:-880.5億ドル
(他略)⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「Balance of Payments by Region, 2022(preliminary) June 202」
まずご注目いただきたいのは、対合衆国では「677.9億ドル」もの黒字(資産増)になっていることです。
この対合衆国での経常収支黒字は過去最大。韓国は2022年には対合衆国で過去最大の黒字を達成したのです。
経常収支「677.9億ドル」のうち、貿易収支黒字が「563.8億ドル」が締めています。
「貿易でカッパいだ」わけです。
見逃してはならないのは、外国からの所得を計上する「第1次所得収支」が「137.9億ドル」あることです。
貿易収支:563.8億ドル
サービス収支:-20.2億ドル
第1次所得収支:137.9億ドル
第2次所得収支:-3.6億ドル
経常収支(上記4つの合計):677.9億ドル
韓国は稼いだお金を外国に投資して、これのリターンを得るという、第1次所得収支を拡大させる方向の端緒につきました。これも日本がかつて来た道です。ただ、現在の日本のように、もはや貿易収支には頼っていません――というポジションまでいけるかどうかです。恐らく時間が足らないでしょう。
次に対中国の経常収支です。
貿易収支:-100.6億ドル
サービス収支:-5.9億ドル
第1次所得収支:26.4億ドル
第2次所得収支:2.3億ドル
経常収支(上記4つの合計):-77.8億ドル
これまで最大の貿易相手国であった中国ですが、貿易収支は「-100.6億ドル」の大赤字で、経常収支も「-77.8億ドル」の赤字。
対中国で経常収支が赤字に転落したのは実に21年ぶりのこと。中韓の取引では経常収支は黒字にならないという事態に陥りました。「儲からないなとやっと気付いて、靴噛んでみたり、空飛んでみたり」になりつつあります。
前年の2021年の経常収支は「234.1億ドル」の黒字でしたから、なんと2021年 ⇒ 2022年で経常収支は「312.0億ドル」も蒸発したのです。
ただ、対中国においても第1次所得収支で「26.4億ドル」の黒字を出している点は注目に値します。
次に対日本の経常収支ですが、2022年は「-177.8億ドル」。これはいつものことで、日本からすれば「毎度あり」です。「NoJapan運動」が起こった2019年ですら、対日本の経常収支は「-190.2億ドル」でした※。韓国にとっては全く面白くないことでしょう。
貿易収支:-153.3億ドル
サービス収支:24.3億ドル
第1次所得収支:-49.7億ドル
第2次所得収支:8億ドル
経常収支(上記4つの合計):-177.8億ドル
※ただし「NoJapan運動」によって日本からの輸入が減少したこともあり、2019年の(国際収支統計における)貿易収支は「-138.1億ドル」で済みました。
さらに「対中東」です。対中東の経常収支は「-880.5億ドル」という、対合衆国の経常収支黒字「677.9億ドル」を全部吐き出してもまだ足らない凄まじい赤字です。
これはいうまでもなく、原油などのエネルギー資源を大量に輸入しいるからです。貿易収支が「-872.6億ドル」と経常収支赤字のほとんどを占めていることからもこれは明らかです。尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が「中東には原発と武器を売ろう」などと言い出すのも無理はありません。
2023年もまもなく半分が終わりそうですが、韓国にとって最大の問題は「本当に下半期に輸出が回復するのか」です。目論見が狂ったら目も当てられないことになります。
ご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)