中国共産党の英語版御用新聞『Global Times』が非常に面白い記事を出しました。
中国の不動産市場の歪な開発によって、鬼城(いわゆる「ゴーストタウン」のこと)が多数発生しているというのはウソだというのです。
記事から一部を引用してみます。
「認知戦」(Cognitive warfare:引用者注)は国家間の新たな対立形態となり、新たな安全保障上の脅威となっている。
新たな技術的手段で問題を設定し、偽情報を拡散することで、人々の認識を変え、自己同一性を変化させる。
中国に対する認知戦の開始は、西側の反中勢力にとって、中国を攻撃し信用を失墜させる重要な手段である。
アメリカ主導の西側の工作の下で、「中国脅威論」は発酵し続けている。
一部の政治家やメディアは、「中国経済崩壊論」や「中国ウイルス脅威論」のような論調を広めることで、公然と中国のイメージを中傷し、一部の国の人々の中国に対する不満を煽り、刺激しようとしている。
これらの手段は全て、中国の台頭を封じ込め、覇権を維持するためのアメリカの平和的進化戦略に奉仕するものである。
(中略)
中国の都市を「ゴーストタウン」と呼ぶ同様の報道は、ここ数カ月で頻繁に見られるようになった。
中国南西部の雲南省の省都である昆明や、中国東部の江蘇省にある常州などの都市も、この種の偽情報キャンペーンに関与していることが、『Global Times』の調べで分かった。
「ゴーストタウン」説話は、中国とその都市をさびれた、人気のない、将来性のない場所として描くことで、国際的な視聴者の中国とその都市に対する認識に影響を与えようとする、合衆国メディアの中国に対する認知戦の典型的な一部である。
(後略)
この記事の面白いのは、上海の中心部で撮られた写真が人気のない時間を狙って撮影されたものであり、明らかなフェイクであるとしている点です。
これについては拝聴するとしても……です。そこから「地方のゴーストタウンもウソである」と敷衍しているのはいただけません。中国のSNSを探せば、建設途中で打ち捨てられたマンションなどの写真がたくさん見つかります。
これらも全部、自由主義陣営国が仕掛けた「認知戦」だというのでしょうか。
さらに、この記事の面白いのは、2023年に合衆国などの主要メディア・シンクタンクが掲載した「中国についての記事」約11万4,000件の分析を行っていることです。
この分析によると、
中国に中立的:7万1,700件(62.7%)
中国に肯定的:1万9,500件(17%)
中国に否定的:2万3,100件(20.2%)
となった、とのこと。
合衆国と中国の対立が深化しているというのに、中立的な記事が約63%というのは、逆に公平性を心掛けた記事が多いということではないでしょうか。
『Global Times』自身が掲載した記事を、同様に「中立的」「公的的」「否定的」で分類してみたらどのようになるのか、ぜひ試みていただきたいのですが、いかがでしょうか。
御用新聞ですので、中国共産党の提灯記事ばかり、合衆国など自由主義陣営国を非難する記事ばかりを掲載していることが露わになると思われますが。
(吉田ハンチング@dcp)