2024年05月17日、中国で「不動産対策会議」が開催されました。『新華社』などのメディアが伝えています。
中国住宅都市農村開発部(MOHURD)、天然資源部(MNR)、『中国人民銀行中央銀行』、国家金融監督管理局(SFSAB)が国務院情報弁公室に集まり、何立峰副首相が演説を行いました。
何立峰さんは、
「現在、更新すべきプロジェクトの融資と完成・引渡しを全面的に支援し、関連地方政府は実務的な観点から、回収・取得の方法で売却に出された住宅用地の遊休ストックを適切に処分し、財政難に陥っている住宅企業の難局を解決するのに役立てるべきだ」
――と述べました。
そんなことが簡単にできるなら誰も苦労しませんし、恐らく不可能です。
中国の不動産市場はもはや悲惨な状態
中国では不動産市場が大きく傾いており、もはや立て直すことができなくなっています。最近日本でも「中国の過剰生産性」が一つのキーワードになっていますが、中国の不動産市場こそがその最たるものです。
中国本土では住宅が余っています。どのくらい余っていつか、正確なデータを中国当局が出すわけはありませんが、実態を想像させるに足る要人の発言があります。
2023年09月、中国国家統計局の元副局長、賀堅さんが「中国実体経済発展大会」で「中国全体の空き家には約10億人が住むことができる」と述べました。
衝撃的な発言というべきです。また、先にご紹介した『欧州連合商工会議所』のヨルグ・ウケッテ(Joerg Wuttke)会長は、2024年02月に「ドイツの人口8,200万人が中国に引っ越して、そっくりそのまま住めるだけの空き家がある」旨を発言しました。
その一方で、中国では未完成不動産が増え、購入したのに物件が引き渡されないという事案が激増しているのです。
不動産市場が低迷し、お金の回らなくなった不動産ディベロッパーが物件を完成させず、放棄するからです。
つまり、中国というのは不動産物件が激余りで、かつ未完成物件もどんどん増えているという「あんたたちはナニやってんの?」な状態です。
状況は悲惨で回復などできない
中国不動産市況は好転しているのか? 答えは「NO」です。
統計データを見てみましょう。
2024年01~04月
不動産投資:-9.8%
新築商業用不動産の販売面積:-20.2%
新築商業用不動産の販売額:-28.3%
商業用不動産の売れ残り面積:+15.7%
⇒上記のうち分譲住宅:+24.5%※対前年同期比の増減
データ出典:『中国 国家統計局』
上掲とおり、投資・販売は減少し、売れ残りの面積は増加しているのです。
こんな状態ですので、多少のお金を突っ込んだところで状況を好転させることなどできません。ザルで水を汲むようなものです。
当局も「どうしようもない」ので、頭がぼーっとしているのではないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)