2024年08月09日、中国の商務部が以下のプレスリリースを出しました。記者からの質問に答えたという体になっています。
商務部の報道官が、中国が『WTO』に「欧州連合の電気自動車に対する暫定的な反補助金措置」を提訴した件について記者の質問に答える
質問:
中国が欧州連合の電気自動車に対する暫定的な反補助金措置を世界貿易機関(WTO)に提訴したとのことですが、具体的な状況を教えていただけますか?回答:
電気自動車産業発展の権益と世界的なグリーン転換協力を守るために、08月09日、中国は「欧州連合の電気自動車に対する暫定的な反補助金措置」を世界貿易機関の紛争解決メカニズムに訴えました。欧州連合の初期判断には事実および法律の基盤が欠如しており、『WTO』の規則に深刻に違反しており、世界的な気候変動対策の協力を損なうものです。
私たちは欧州連合に対し、即座に誤った措置を是正し、中欧間の経済貿易協力と電気自動車の産業チェーンと供給チェーンの安定を共同で守るよう強く求めます。
Money1でもご紹介したとおり、EUは、2024年07月05日から中国製EVに対して、メーカーごとに17.4~37.6%の追加関税を科すことにしました。欧州委員会による「反補助金調査」はまだ続いていますが、EU側と中国側は協議を行う――となっていました。
しかし、中国側はEUの「反補助金関税賦課」措置に対して、『WTO』への提訴というカードを切ってきました。
中国側も必死です。なぜかというと、2023年末時点で以下のとおり、中国産の電気自動車の輸出はその40%が欧州に向かっているからです。北米向けの2倍ですから、ここを締められると困るのです。
2023年末時点「中国の自動車輸出」地域別シェア
地域 シェア(仕向け地域への輸出量/全輸出量) 欧州 40% 北米 20% アジア 25% アフリカ 5% 南米 5% オセアニア 5% ※データは『S&P Global』『Seatrade Maritime』『Car News China』etcより集計
また、中国が『WTO』に提訴しましたが、これでEUが折れるとは到底考えられません。ましてアメリカ合衆国によって『WTO』は開店休業のような事態になっていますから、そもそもが無理スジです。
(吉田ハンチング@dcp)