韓国政府おなじみの(事実上の)「徳政令」が、2025年06月19日の国務会議で可決されました。
この日、可決されたのは、先にご紹介した「第2次補正予算:30兆5,000億ウォン」という巨額の支出です。
補正予算の中に「民生安定」という項目がありますが、これが事実上の徳政令です。
第2次補正予算の主な内容をまとめると以下のようになります。
・全国民1人当たり 15万~52万ウォンの民生回復支援金を07~08月に支給
・地域商品券 8兆ウォン 追加発行(国費6000億ウォンを追加支援)
・冷蔵庫・エアコン・洗濯機・電気炊飯器・テレビなど家電製品購入時、10%(最大30万ウォン) 還付
・宿泊・映画鑑賞・スポーツ施設の割引クーポン780万枚 提供
・中小企業の職員 15万人に対して休暇費 10万ウォン 支援
民生安定(5兆ウォン)
・7年以上延滞した5,000万ウォン以下の借金を免除・減額
・廃業した小規模事業者の店舗撤去費を最大600万ウォン支援
・低所得層の青年157万人に対して2年間、月最大20万ウォンを月次支援
歳入調整(10兆3,000億ウォン)
小計:30兆5,000億ウォン
この補正予算案によると――、
1人当たりの月収が約143万ウォン(中位所得の60%)未満であるか、個人再生・破産などによって資産を処分しても返済できない場合に該当する。
過去の職業については問わない
――としています。
これは借金の全額免除なので、まさに「徳政令」です。
延滞情報金融会社が「7年間保存」します。また信用回復委員会に債務調整を申請する人々の平均債務額が約4,456万ウォンであることからこの基準が定められた――とのこと。
また全額免除の他、負債の返済能力が著しく低下したと判断される個人については、元本の最大80%までを減免したり、10年間の分割返済を可能としたりする措置が設けられる――とのこと。
――で、どうなるかというと、計113万4,000人が抱える16兆4,000億ウォンの負債が消滅する――と見込まれます。
こんなことして大丈夫なのかですが、大してお金は掛らないと政府は見ています。
先にご紹介した「Bad bank(バッドバンク)」が債務を5%が買い取って処理するから――です。
『朝鮮日報』の書きようを引用するなら、以下のような具合です。
(前略)
債務免除・減免の規模に比して、投入されるコストは少ないと見られている。「バッドバンク」(不良債権を引き取って整理する専門機関)を設立し、不良化した融資を買い取って消却する計画であり、この際、全債務の5%のみを支払ってバッドバンクが買い取るためである。
通常、銀行など金融会社は既に回収不能と見なして、安値で債権を売却する。
政府は約8,000億ウォンの財源が必要と見込んでおり、そのうち半分の4,000億ウォンは補正予算で確保し、残りは銀行などの金融機関が拠出する資金で調達する方針だ。
(後略)
処理する債務がざっくり16兆ウォンだとすると、バッドバンクが買い取る金額はその5%で0.8兆ウォン。つまり8,000億ウォンです。
――で、半分の4,000億ウォンは政府が出しますが、半分は金融機関に出させるというのです。
銀行などの金融機関は不良資産が確定し、債権を放棄して(代わりに5%受け取る)、その上バッドバンクにお金を拠出しなければなりません。
金融機関には損失の再確認と社会的コストの分担が求められる――といえば格好はいいのですが……。金融機関に「手伝えコラ」という話だ――というのは言い過ぎでしょうか。
韓国メディアでは「借りた者勝ち」「借金は返さないでもいい」「どうせチャラになる」とモラルハザードにつながる可能性がある――などと書いていますが、そんなもの今に始まったことではありません。
規模の違いはあるにせよ、これまで政権ごとに徳政令を出してきました。
『すべてがFになる』なら詩的ですが、「(借金はどうせ)全てがチャラになる」などという社会に信用など存在するでしょうか。
韓国人は徳政令があっても、また債務を積み始めます。もう何度だっていいますが、韓国は賽の河原のような社会なのです。
(吉田ハンチング@dcp)