2025年07月01日、韓国の産業省資源部が「2025年06月および上半期の輸出入動向」のデータを公表しました。
2025年06月
輸出:598億ドル(+4.3%)
輸入:507億ドル(+3.3%)
貿易収支(輸出 – 輸入):+91億ドル※( )内は対前年同期比の増減
⇒参照・引用元:『韓国 産業通商資源部』公式サイト「2025年06月および上半期の輸出入動向」
06月の貿易収支は「+91億ドル」(貿易黒字)で、これは良い数字です。
産業通商資源部は「歴代6月中最大の輸出実績を記録」と誇らしくプレスリリースに書いていますが、実はそんな順位などはどうでもいいことです。
韓国は(通関ベースとはいえ)貿易収支が小さくなると経常収支が赤転する可能性が高まりますので、ある程度の規模の貿易黒字をコンスタントに出し続けることの方が大事です。
2023年01月から2025年06月までの月次の貿易収支の金額推移を見ると以下のようになります。
この「06月の貿易収支:+91億ドル」は、2018年09月以来の金額で、いわば「出来過ぎ」です。
当月の貿易収支が大きな黒字になったのは国際原油価格の下落が効きました。そのアオリで韓国の15大輸出品目に数えられる石油製品は相変わらず不振なのですが。
では韓国にとって最重要の輸出が伸びているのか?――というと、以下をご覧ください。
ご注目いただきたいのは、右の「輸出金額の対前年同期比の増減」です。
すぐお分かりいただけるでしょうが「輸出金額は前年と比べて大して伸びてないじゃん」なのです。
韓国は輸出(正確には商品輸出)に頼っている国なので、輸出が伸びなかければ外貨も稼げません。そのため、経済が危うくなってくると「輸出を増やせ」になります。
韓国メディアが最近「海苔が絶好調」「K-ラーメンが世界制覇」などとやたらに喧伝するのは、他に褒められるところがないからです。
⇒汎用メモリーは中国が追いつきつつあり、技術的に追いつかれたら安値の叩き合いに巻き込まれて中国に席巻されること必至。唯一リードを守れているのは『SKハイニックス』のHBMのみ。
●自動車
⇒中国市場はもはや取れないことが確定。北米市場に依存しており、ここで販売台数を維持できなければ「おしまい」になる可能性が高い。
●鉄鋼
⇒中国との安値の叩き合いで完全に敗勢。韓国市場も蚕食されつつあり、『POSCO』はじめ鉄鋼メーカーの業績は傾いている。
●石油製品
⇒十分な精製マージンが確保できなければスグに業績が傾く脆弱な産業構造。それゆえに今もう傾いており、青息吐息。資産が十分にないところから折れていくような状況。
●船舶
⇒そもそもが斜陽産業。中国企業との安値の叩き合いで、赤字でも受注するという無茶苦茶が横行。叩き売りになったら中国企業に勝てるわけがないので、この先も暗い。
――といったような状況なのです。
面白いのは、主要輸出国・地域別の輸出金額です。
以下をご覧ください。2025年上半期の主要国・地域9つへの輸出金額です。
区分 米国 中国 ASEAN EU(27カ国) 日本 中南米 インド 中東 CIS 全体 輸出額 621.8 604.9 576.1 349.0 139.2 137.0 94.7 98.2 62.4 3,347.1 増減率 △3.7% △4.6% +3.8% +3.9% △3.8% △6.1% +1.6% +3.3% +13.3% △0.0% △はマイナスの意味です。
2025年上半期、韓国にとって最大輸出先であるアメリカ合衆国、中国への輸出金額は、対前年同期比で、それぞれ「対米:-3.7%」「対中:-4.6%」とむしろ減っています。
韓国輸出の最大ボリュームゾーンで減少しているのです。
以下をご覧ください。四半期ごとの対米・対中輸出金額と対前年同期比の増減をグラフ化したものです。
↑左が「対米」、右が「対中」の輸出金額(棒グラフ:金額は億ドル)。折れ線グラフは対前年同期比の増減。このとおり、対米、対中の輸出金額は右肩が下がっています。
06月は91億ドルの貿易黒字だったーと喜んでいる場合ではないのではないでしょうか。
トランプ高関税の猶予期間が間もなく終わります(90日間の猶予期間は、2025年07月09日に終了)。
(吉田ハンチング@dcp)