「韓国への投資意欲が激減!」製造業への直接投資の着金「54.1%も減った」

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2025年07月03日、韓国の産業通商資源部が興味深い資料を出しました。

2025年上半期の「外国から韓国に対する直接投資」の数字です。

2025年上半期の外国直接投資(FDI)

届出額:131億ドル-14.6%

資金到着額:72.9億ドル+2.7%

アメリカ合衆国の関税措置や国内の政治的混乱の影響で投資届出が減少。

一方、昨年の良好な届出実績に基づき、資金到着は安定的に推移。

【総括】
2025年前半の累計FDI届出額は前年同期比14.6%減の131億ドル、資金到着額は同2.7%増の72.9億ドルを記録。

⇒参照・引用元:『韓国 産業通商資源部』公式サイト「2025년 상반기 외국인직접투자 신고 131.0억 달러(△14.6%), 도착 72.9억 달러(+2.7%)」

非常に面白い結果です。

外国から韓国への直接投資は「届け出」ベースで14.6%も減少しました。

直接投資「届け出」と「到着」の違いとは?

ずいぶん前にご紹介したことがありますが、直接投資の統計には「届け出」と「到着」の2種類があります。

これだけは先にご紹介しておかなければなりません。すでにご存じの方は、下の小見出しまで飛ばしてください。

「届け出」と「到着」を区別するのは、直接投資とひと口に言っても、投資の意思表示と実際の資金移動との間に時間差があり、段階的に進行する性質を持つためです。

届け出(届出額)」というのは――、

――外国企業や投資家が今後投資する意向を示して、政府に申告する段階の数字です。

契約や覚書(MOU)の締結、投資計画の決定後に行われますが、この段階では実際にお金が動いたわけではありません。

届け出額は――、

目的:将来の投資動向や意欲を把握するため
特徴:経済活動の先行指標として使われる

――という指標になります。

一方の「到着(実際到着額)」とは――、

実際に外国から資金が韓国に送金・着金された金額を指す

――という数字です。

工場建設、M&A、設備投資などに使われる資金がこの段階で反映されます。

目的:実体経済への実際の影響を測定するため
特徴:届出額よりもタイムラグがある

――というのが「到着」金額の特徴です。

ここで注意しなければならないのは、「届け出」された直接投資といっても実際に着金するとは限らないことです。

これが直接投資の面白いところで、プロジェクト段階では「やるぞ!」だったものが、「やっぱりやめた!」になったりします。

・届け出はあっても、資金が届かない(キャンセル・延期)ケースがある
・逆に、過去の届出に基づいて、今期に資金が流入するケースもある

――といったことがよくあります。

そのため「届け出」と「到着」を分けて集計することで、投資意欲と「実際の実行状況」の両方を把握できるというわけです。

韓国への投資意欲が減退している!

――というわけで、2025年の上半期の直接投資の「届出額」が14.6%も減少したというのは、とりも直さず「韓国への投資意欲が急減した」ことを示しています。

一方の「到着額」は「+2.7%」でむしろ増えていますが、これは2024年が「届出額:345.7億ドル」(+5.7%)と好調だったためで、それが到着しているものと推定されます。

投資意欲が減退した分、この先は着金もあまり期待できないよ――なのです。

「届出額」は「到着額」の先行指標になるわけです。

「届け出」「到着」を細かく見ると……

今回の直接投資の「届出額」「到着額」を細かく見ると、韓国経済の袋小路状態を示す、非常に面白い特徴が見えます。

以下が、産業通商資源部が出したプレスリリースから「投資届出」「投資到着」に分けて、その特徴をピックアップしたものです。

面倒くさい方はいちいち細部まで読まなくても大丈夫ですので、次の小見出しまで飛ばしてください。

【投資届出】
全体:131億ドル-14.6%
 米国の関税政策と昨年12月の非常戒厳令事態以降の政治不安により、世界的企業が新規投資を保留。成約を目指した届出は前年同期より減。

タイプ別:
 ・グリーンフィールド:前年同期比4.5%減、109.7億ドル
 ・M&A:前年同期比44.6%減、21.3億ドル

国別:
 ・EU:昨年の洋上風力プロジェクト入札結果に伴いわずかに増加 → 22.4億ドル(+14.5%
 ・アメリカ合衆国:流通などサービス業中心に20.2%増 → 31.3億ドル
 ・日本:21.6億ドル(-25.4%
 ・中国:18.2億ドル(-39.0%

業種別:
 ・製造業:前年同期比34.5%減、53.3億ドル。主に電機・電子(14.0億ドル、-61.6%)や機械設備・医療精密(2.6億ドル、-77.0%)など装置産業が減少。アメリカ合衆国の関税政策によるグローバルな投資先シフトや国内設備投資の縮小の影響。

 ・サービス業:前年同期比10.6%増、70.9億ドル。市場進出目的の流通(13.2億ドル、+73.3%)や情報通信(10.9億ドル、+9.4%)で届出が増加。


【投資到着】
全体:72.9億ドル+2.7%)。これは昨年の良好な届出実績(345.7億ドル、+5.7%)に基づき、過去届出案件の資金が安定的に到着しているものと推定。

タイプ別:
 ・グリーンフィールド:前年同期比4.4%増、45.0億ドル(データセンターや大型商業施設などサービス業中心)
 ・M&A:27.9億ドル(+0.2%)

国別:
 ・アメリカ合衆国:サービス業中心の資金到着が多く、14.7億ドル(+32.9%)
 ・EU:19.7億ドル(-29.0%
 ・日本:3.9億ドル(-59.8%
 ・中国:1.2億ドル(-48.6%

業種別:
 ・製造業:15.1億ドル(-54.1%)。特に電機・電子(5.7億ドル、-46.4%)、機械設備・医療精密(2.1億ドル、-57.8%)など届出減少業種で到着資金も低調。合衆国関税政策の不透明が投資実行の保留につながったと推定。
 ・サービス業:54.1億ドル(+51.0%)。大規模M&A案件により金融・保険が30.5億ドル(+39.3%)と大きく増。

⇒参照・引用元:『韓国 産業通商資源部』公式サイト「2025년 상반기 외국인직접투자 신고 131.0억 달러(△14.6%), 도착 72.9억 달러(+2.7%)」

製造業への投資が激減している!

まずご注目いただきたいのは「業種別」のデータです。

韓国は貿易1本で食べている国で、貿易黒字を稼いできたのは「製造業」でした。韓国の高度成長を支えてきたのは輸出される「製品」だったのです。

しかし製造業では、「届出額:-34.5%」「到着額:-54.1%」と大きく減少しています。

つまり外国人投資家はもはや韓国の製造業に投資しようとは思っていないのです。

投資意欲を示す「届出額」の方は露骨にそれを示しています。

製造業の中でも韓国が誇ってきた――、

電機・電子:14.0億ドル(-61.6%
機械設備・医療精密:2.6億ドル(-77.0%

――が惨状という結果になっています。

実際に着金した「到着金額」でも製造業は「15.1億ドル(-54.1%)」と激減です。また同様に、

電機・電子:5.7億ドル(-46.4%
機械設備・医療精密:2.1億ドル(-57.8%

――と着金も激減しているのです。

このような惨状は、まさに「製造業主導、製品輸出で発展してきた韓国経済」の行き詰まりをも表しています。実は、突破するためのヒントもこのデータの中にあるのです。

(吉田ハンチング@dcp)

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