韓国の大統領に成りおおせてしまった李在明(イ・ジェミョン)さんですが、この李在明(イ・ジェミョン)政府は面白い動きをしています。
政府機関である「統一部」の名称を変更し、「統一」を冠しない部の名前にしようとしています。
韓国憲法の建付けでは――朝鮮半島の正当な政府は韓国政府だけであり、北半分を支配している金ちゃんファミリーの政府は不当・不法なものであり、反政府勢力である――となっています。
ゆえに、いつかは朝鮮半島を統一して(反政府勢力を駆逐して)現韓国政府の下に統治することになるのだ――というのが目標であり、そのための活動をする「統一部」という「部」が設けられていました。ところが、その部の看板から「統一」を下ろそうというのです。
面白いことに、この動きは北朝鮮の動きと合致しています。
Money1でもご紹介したことがありますが、金ちゃんファミリー三代目の金正恩さんは、初代・金日成さんの遺訓を捨てて、南朝鮮政府を「国」と見る――発言を行いました。「敵国である」と。
北朝鮮から見れば、南朝鮮こそ反政府勢力であり、いつかは打倒して朝鮮半島を統一するぞ――だったのですが、3代目は初代のつくった「建付け」と投げ捨てたのです。
「今までやってきたことは何だったんだ」なのですが、これが3代目の主張であり、南朝鮮(韓国・李在明政権)側もまるでそれに合わせたようなムーブをしているのです。
『統一日報』が非常に興味深い記事を出しています。以下に記事の一部を引きます。
(前略)
■統一など止めよう!統一部長官候補の鄭東泳氏は、南北関係を馬と馬車に例え、「平和が馬で統一が馬車だ」と語り、まずは関係改善に力を入れるべきだと主張した。
統一部の名称変更を求める今回の主張は昨年9月、文在寅政権で南北首脳会談準備委員長を務めた任鍾晳・元青瓦台秘書室長の認識とも重なる。
任氏は当時、「統一など止めよう! すべての法制度と政策から『統一』という言葉を省こう」と発言し波紋を広げた。
自らを統一運動家と名乗ってきた任氏が、北韓の金正恩総書記が南北関係に対し唱えた「敵対する二つの国」の主張に追随しているのではないかとの批判が相次いだ。
■憲法と矛盾…北政権への忖度か
統一部の名称変更が問題視されるのは、それが国の根幹を成す憲法と関係するからだ。
大韓民国憲法第4条等には、「自由民主的基本秩序に基づく平和的統一」が国家の基本方針として明記されている。
大統領の就任宣誓文にも「平和統一のため努力する」との一文が含まれている。
こうした中で統一部の看板から「統一」を削除してしまえば、憲法に掲げられた価値そのものと矛盾する結果になりかねない。
一方、北韓政権はすでに「統一」という言葉自体を排除している。
金正恩は南北韓を「敵対する二つの国」と定義し、住民には「統一」という言葉の使用を禁じている。
金日成と金正日の遺訓である統一路線を放棄した金正恩に対し、なぜ韓国が政府機関の名称まで変更し迎合する必要があるのかと問わざるを得ない。
統一部という名称は、韓国の統一への意思そのものであり、国際社会にもその姿勢をアピールする狙いがある。
よって名称を変更した場合、国際社会に対し「韓国は北韓との統一を放棄した」との誤ったシグナルを送る恐れがある。
また、統一の対象である北韓住民に対しても、「韓国はもう統一を望んでいない」との印象を与えかねない。
名称を変えたからといって、北韓の態度が軟化し南北関係が改善する保証もない。
(後略)⇒参照・引用元:『統一日報』「統一部の名称変更を主張」
北朝鮮の指示を受けて看板を付け替えようとしているのかは分かりませんが、同記事にあるとおり「統一などもうやめよう」というアピールに受け取られる可能性は十分にあります。
朝鮮半島に住む人が(自分たちのことなので)考えればいい話ですが、もし看板も付け替えて統一の話について有耶無耶にするなら、それこそ「民族の悲願」という話、今までの声高な主張は何だったんだ?――となります。
李在明(イ・ジェミョン)さんの政権が最終的にどうするのかは、かなりの見ものなのです。
(吉田ハンチング@dcp)