【韓国の特異性】『韓国銀行』の分析「経常収支黒字の拡大が続くのに韓国はなぜウォン安が進行するのか」

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2026年04月17日、『韓国銀行』が「BOKイシューノート」で非常に興味深い論文を公表しました。

『韓国銀行』の全総裁、李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は『韓国銀行』の職員に対して、『韓国銀行』こそが最高のシンクタンクであるべき――と発破ハッパをかけ、実際同行から公表される論文の質は向上したと感じられました。この論文は李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁時代の掉尾を飾るものになったかもしれません/李昌鏞(イ・チャンヨン)さんは2026年04月20日に任期を満了して退任されました。

以下にこの論文の摘要部分だけを全文和訳します。

わが国の対外部門の構造的変化が為替レートに及ぼす影響

キム・ジヒョン
韓国銀行 国際局 国際金融研究チーム 課長

キム・ミン
韓国銀行 国際局 国際金融研究チーム 課長

1.伝統的に経常収支黒字は自国財の競争力向上と純輸出拡大を反映し、実質為替レートの下落(自国通貨の上昇)を伴うものと理解されてきた。

しかし2023年第2四半期以降、わが国では経常収支黒字幅が拡大する中で実質為替レートは上昇(ウォン安)する動きが相当期間持続している。

2.グローバル金融危機以降、我が国の海外資産蓄積は公共部門の準備資産中心から民間のポートフォリオ投資中心へと転換された。

またこのような変化は、わが国の人口構造の高齢化などに伴う貯蓄増加および国内投資鈍化の流れと重なって現れた。

経常収支は経常取引による純輸出の結果であると同時に金融勘定を通じた資本純流出を反映するという点で、対外資産蓄積構造の変化は経常収支と実質為替レートの主要決定要因にも変化をもたらした可能性を示唆する。

3.これを実証的に検討するため、経常収支黒字―ウォン高を誘発する「商品ショック」と、経常収支黒字―ウォン安を誘発する「金融ショック」とにショックを区分して識別し、時期別ショックの相対的重要性を検討した。

分析結果、金融ショックの発生頻度は純対外資産国への転換前後で類似している一方、実質為替レート上昇(ウォン安)および資本流出へとつながる正(+)の金融ショックの頻度はより高まったことが示された。

また外為市場の厚みが深い主要先進国と比べて、金融ショック発生時に資本流出に伴う通貨下落の程度が相対的に大きく現れる特徴も確認される。

4.構造モデル(2国家ニューケインジアン開放経済モデル)分析を通じて実証分析結果を構造的に解釈し、ショックの影響を定量化した。

モデルにおいて正(+)の金融ショックは居住者のドル資産需要増加(非居住者のウォン資産需要減少に対応)と貯蓄需要拡大要因に細分化される。

分析の結果、2014年まで為替レート下落を主導していた商品ショックの影響は最近弱まった一方、ドル資産需要増加と高齢化および国内投資不振などによる貯蓄需要拡大が実質為替レート上昇圧力として作用する傾向が強まったことが示された。

最近わが国の経常収支黒字拡大が実質為替レート上昇を伴う現象は、このような変化に起因すると見ることができる。

5.上記の結果は、我が国経済が主要先進国と同様に民間中心の海外資産運用段階へ移行する過程で、経常収支と為替レート間の調整メカニズムが変化していることを示唆し、外為市場の安定および資本フロー管理において居住者の資本移動の重要性が過去よりも高まったことを意味する。

6.また同過程において、居住者の海外資産需要が短期間に拡大したり、対外環境変化に伴う外国人資金フローの変動性が加わったりする場合、外為市場の感応度が高まり需給不均衡が深刻化し、為替変動性が拡大する可能性がある。

これに伴い、短期的な需給不均衡緩和のための政策対応とともに、中長期的観点から外為市場の厚みを高めるための政策を並行して進める必要がある。

■本資料の内容は『韓国銀行』の公式見解ではなく、執筆者個人の見解であることを明らかにします。したがって本資料の内容を報道または引用する場合には、執筆者名を必ず明示してください。

■論考作成に多くの助言をいただいたユン・ギョンス国際局長、ユ・ジェヒョン国際企画部長、クォン・ヨンオ国際研究チーム長に感謝いたします。本文に残っている誤りは著者の責任であることを明らかにします。

⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「[제2026-9호] 우리나라 대외부문의 구조적 변화가 환율에 미치는 영향」

これは非常に重要な分析・論文です。

経常収支の黒字は、普通なら通貨高もたらします。ところが韓国の場合、2023年第2四半期以降、経常収支黒字が拡大しているのに、ウォン安トレンドが継続しています。

なぜこんなことになるのか? なぜ韓国だけズレた動きになるのか?――というのがこの論文のテーマです。

この論文では、輸出主導の「商品ショック」と資本移動主導「金融ショック」の二つに分解し、「構造変化が起こっているのだ」と結論づけています。

かつてとは異なり、現在は「金融ショック」の方が大きく、「輸出が大きくなっても資金が外国に出ていく流れが強く」なり、これがウォン安を進行させているのだ――というわけです。もっといえば「為替が“貿易”ではなく“投資行動”で動くようになった」のです。

重要なのは、韓国は金融ショック時の通貨下落が他国より大きい――という点です。

理由は簡単で「外為市場の厚みが浅く、資本流出に弱いから」です。同じショックでも韓国は為替が過敏に動く――のです。

この論文はとても興味深いものなので、もし興味を持ったら上掲URLにアクセスして原文を読んでみてください。

(吉田ハンチング@dcp)

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