株式の取引を行うためにその銘柄の売買状況を調べていると、情報をまとめた表組の中に「買い残(買残)」「売り残(売残)」(あるいは「信用残・買」「信用残・売」など)という項目があるのに気付くでしょう。
■「買い残」「売り残」は信用取引における株式の売買残
この「買い残」「売り残」は、株を借りて行う「信用取引」において、どのくらい「売り」と「買い」の株式が決済されずに残っているか、その株数を示しています。
●買い残
信用取引で買われた株式がどのくらい売却されずに残っているかを示します。
●売り残
信用取引で売られた株式(空売りされた株式)がどのくらい返済されず(買われず)に残っているのかを示します。
信用買いをする人は「その銘柄の株式が上がる」と思うから借金をしてまで(貸し株手数料を支払ってまで)買うわけですし、
信用売りをする人は「その銘柄の株式が下がる」と思うから借金をしてまで(貸し株手数料を支払ってまで)売るわけです。
つまり、「買い残」は上がると思っている人のモメンタムを株式数で表したもの、「売り残」は下がると思っている人のモメンタムを株式数で表したもの、と考えることができます。
『カブドットコム証券』の株式情報ページから具体的な例を見てみましょう。
上掲はリョービ(東証1部:5851)の12月01日時点のデータです。「信用情報」のところに「売り」と「買い」の残数、すなわち「売り残」と「買い残」があります。
これによれば、
信用売り残:12万2,200株
信用買い残:4万9,700株
と、このリョービの株式では「信用売り残」が「信用買い残」のざっくり3倍もあります。「空売りを仕掛けた人」が「信用買いをしている人」を大きく上回っている状況です。
つまり、下がると思っている人が売った(そして返済「買い」していない)株式が、上がると思っている人が持っている株式の3倍あるわけですね。
この買い残、売り残はどこかで解消されます。株価が売買の狙いどおりの水準になったら売り・返済が行われますし、また借り株・貸し株の返済期限がくれば、相場の水準がどうであろうとそこで決済しなけれななりません。
つまり、この信用取引の売買残は、
・買い残 ⇒ 将来の売り圧力
・売り残 ⇒ 将来の買い圧力
となって作用するというわけです。買い残・売り残の数字を見るときにはこの視点も重要となります。
いずれにしても「買い残」「売り残」はその銘柄が投資家からどのように見られているのかを示す有効なシグナルなのです。
(柏ケミカル@dcp)