ブレグジットについての手切れ金についてゴネにゴネていたイギリス政府ですが、シティからの苦言もあってさすがに値切るのも限界と判断したようです。
200億ユーロなどと、EU側からすると「20%じゃないか!」(当初報道されていた2,000億ユーロからすれば10%)という金額でお茶を濁そうとしていたのですが、500億ユーロ前後を支払うことでイギリス・EUともほぼ合意に達したようです。
この約500億ユーロは、EU予算でイギリスが負担すべき金額から「イギリスがEUから受け取る金額」を引いたものにほぼ等しく、つまり「イギリスがEUに対して支払う純支出」、下世話な言い方をすると「いってこいの真水の部分」です。
EUの言い分をほぼ飲んだ形ですので、イギリスとしては苦々しいところでしょう。しかし、自分たちが「離脱」を決めたわけですし、清算金で合意に達しなければEUとの関税同盟交渉へと進めないのですから、いたしかたないのではないでしょうか。
手切れ金問題の方が面白いので日本ではあまり注目されませんが、EUとの大事な交渉に、
●北アイルランドの国境管理の問題
があります。これがまた厄介な事案です。「北アイルランド(イギリス領)」と「アイルランド共和国(EUに加盟)」の国境線は地続きのため、ここに国境管理の何らかの処方が必要になるのです。
しかし、アイルランド共和国政府は国境管理に反対の立場を表明していますし、北アイルランドは歴史的にイギリス政府と仲が悪く、「自分たちはEUに残る」旨を主張する勢力が根強く力を持っています。
イギリス・北アイルランドの闘争の歴史を踏まえると、一朝一夕に解決できる問題ではないといえますし、EUがそれに巻き込まれてさらに厄介ごとに発展する可能性すらあります。こちらはまだ白紙でこれからの交渉次第となります。さて、どうなりますか!?
(柏ケミカル@dcp)