韓国のLCC(格安航空会社)は、株式を上場している大手でも業績はひどい有り様となっています。今回は、この責任の一端は現在の文在寅政権にあるという件をご紹介します。
これは先にもご紹介しましたが、まず以下の韓国LCC大手4社の2021年第1四半期の業績をご覧ください。
『済州(チェジュ)航空』:-860億ウォン
『ジンエアー』:-601億ウォン
『ティーウェイ航空』:-454億ウォン
『エア釜山(プサン)』:-472億ウォン
どの会社も債務超過、あるいは債務超過寸前で資金は払底しています。2020年に飛びそうで、結局破綻し、法定管理下に入ったのは『イースター航空』だけでしたが、もうお金がないという事実は変わりません。
ですので、全然危機を脱してなどおらず、実は2021年にこそ危ないというわけです。
LCCが乱立したのは文政権のせい
それにしても韓国のような人口が日本の半分しかない国にLCCが9社もあったということを不思議に思われないでしょうか。過当競争で共倒れになることが予想できそうなものです。
この点については、実は文在寅政権に責任の一端があります。
例えば『フライ江原』(2016年設立当時は『フライ襄陽』)は、2017年には航空運送事業の免許を申請しますが、これは却下されます。過当競争が懸念され、経済性に問題が予測される上に、企業の資金力に不安があったためです。
ところが、2019年になって現文在寅政権は申請に対して許可を出します。
理由は地方空港の活性化(『フライ江原』の設立には江原道も出資している)と雇用を増やすためでした。
経済性を鑑みない極めて政治的なこの決断は悲劇を生みました。
現在、同社は2021年第1四半期の売上はわずか「約7億ウォン」(約6,860万円)にやせ細り、リース代に絶えられないため、3台の飛行機のうち2台を返却するところまで追い込まれています。
また、LCCの経営が傾いたのは、2019年の日本による「輸出管理強化」に端を発する韓国政府の強硬な姿勢にも責任があります。
韓国政府が反日攻勢を強めたため、韓国市井の人々が「NoJapan運動」でこの波に乗ってしまい、ドル箱だった日本路線を利用しなくなりました。そのため、2019年にはLCCの業績は大きく傾いたのです。
ここに2020年のコロナ禍が直撃しました。
韓国に国情に見合わないほどLCCが乱立したこと、LCCのキャッシュ・カウともいうべき事業を消滅させた責任の一端は、経済性を一顧だにしなかった文政権にあるといえます。
以下はおまけの話です。もしよろしければお読みいただければ幸いです。
航空会社はつらいよ、という話
韓国のLCCの中で最大手なのは、『済州航空』ですが、その第1四半期の業績を分解してみると以下のようになります。
総売上:418億ウォン
売上原価:1,075億ウォン
販管費:216億ウォン
で赤字になっているのですが、何にそんなコストがかかっているかというと。
整備費:282億ウォン
ライセンス資産の減価償却費:263億ウォン
etc
人件費が最大ですが、リースの飛行機の減価償却費や維持費はたとえ飛行機が飛ばなくてもかかってしまうのです。コロナ禍で乗客が激減していてもこの費用は計上されます。そのため、リースの飛行機を2機返しちゃおう、といったことになるわけです。
航空会社はつらいよ、という話でした。
(吉田ハンチング@dcp)