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「習近平の法治思想」を実施するためDBを構築する。中国は暗黒社会に向かっている

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中国の最高人民法院総局が2023年11月21日に興味深い文書を出していたことが分かりました。2024年01月から稼働する「全国判決文書データベースの構築」に関する通知です。

最高人民法院総局は中国における最高司法機関であり、最上級の裁判所。

末尾に文書の全文和訳を貼りますが、面倒くさくない人だけ読んでください。

要点だけ述べれば、中国全国の裁判所で出された判決・判例を網羅するデータベースを構築し閲覧できるようにする、という内容です。問題は、このデータベースを使用するための制限です。

「全国裁判所の職員が4段階の裁判所専用ネットワークで判決文書を検索・取得できる」ためのものであって、一切外に開かれたものではないのです。つまり、一般の弁護士など外部の人間には判決・判例を公開しないことを意味します。

また、このデータベースを構築する目的について、「第一に……」として「全国裁判所の判決ライブラリーの構築は、厳格かつ公正な正義の具体的な要件を促進するためであり、習近平の法治思想の実施であり……」となっているのです。

習近平の法治思想を実施するための判例データベースだというのです。恐ろしいとは思われないでしょうか。

現在公開されているデータはどうなる?

2013年07月には「最高人民法院の判決文書のオンライン公開に関する暫定措置」が施行されています。この措置によれば、法律で定められた特別な事情を除き、法的に有効な最高人民法院の判決は原則としてインターネット上で公開されることになっています。

2014年01月01日、「人民法院の判決文書のインターネット公開に関する最高人民法院規定」が正式に施行されました。最高人民法院がインターネット上に中国判決文書ネットワークを用いて、各レベルの人民法院の有効な判決文書を統一的に公開しています。


↑中国判決文書ネットワークは世界最大の判例データベースとなりました/スクリーンショット。これが非公開になり、イントラネット内でしかデータが公開されないなら明らかな後退です。中国は中世の暗黒社会に戻っていきます。

中国判決文書ネットワークは世界最大の判例集となり、 2023年11月28日の時点で約1億4,300万件の判決文書が公開されています。

ところが、2024年01月には、新たな全国裁判所判決文書データベースがオンラインで運用開始となります。これからはこの閉ざされたネットワーク上で、裁判所員しか判例を見ることができません。

現在公開されているデータベースはどうなるのでしょうか?

これは明らかに情報の隠蔽です。中国は「習近平の法治思想」(なんだそりゃ)に則って透明性を失う方向に動いています。

中国は独裁・個人崇拝の国に向かってひた走っています。

<<以下 元文書と和訳>>

最高人民法院弁公室

全国判決文書データベースの構築に関する通知
[2023]第551号

最高人民法院党組の要求に基づき、司法情報公開をさらに標準化・深化させ、全国裁判所の裁決文書の応用・検索能力を強化し、司法ビッグデータの応用を強化するため、全国裁判所の裁決文書データベースを構築することを提案する。関連する作業段取りを以下のとおり通知する。

第一に、全国裁判所判決文図書館建設の意義を十分に理解する。

全国裁判所の判決ライブラリーの構築は、厳格かつ公正な正義の具体的な要件を促進するためであり、習近平の法治思想の実施であり、判決文書の管理を最適化することであり、検索のための効果的なサポートは、法律の統一的な適用を促進することは重要なイニシアチブであり、人民法院の不可欠な部分は、さらなる正義と効率性のために、裁判基地の建設を促進するために、裁判業務の近代化を促進することは非常に重要であり、各レベルの人民法院は、必要があります。

各級人民法院は、これを重視し、効果的に把握し、実務の成果に努めなければならない。

第二に、文書のアップロードは、厳格な要求に基づき、高い品質で完成されなければならない。

データベースにアップロードされる決裁文書は、決裁文書の最終版、すなわち、当事者に送達され、人民法院の印鑑が押された決裁文書であるべきであり、具体的には、判決、裁定、調停、決定を含む(秘密事件および機密情報を含む決裁文書を除く)、文書の期間は、事件が終結し、当事者への送達が完了した2021年01月01日以降の決裁文書の最終版である。

具体的な書式は、裁判所印の押印、PDPまたはOFD形式、鮮明度300dpi以上、傾き±15度内、文字が不鮮明でないことなどの基準に準拠する必要がある。

各級人民法院は厳格に審査・管理し、関連基準に適合しない場合は調整する必要がある。文書のアップロードは二段階に分けられる。

第一に、2023年12月31日までに、2023年以降の国内裁判所の判決文書の最終版のアップロードを完了し、収束させる。

第二に、2024年03月31日までに、2021年と2022年の国内裁判所の判決文書の最終版のアップロードと収集が収束する。 各級人民法院は連携を強化し、両段階が効率的かつ円滑に接続されるようにすべきである。

第三に、システムのアップグレードをしっかりと行うことである。

最高人民法院の統一的な配置に従い、事件処理システムの転換とアップグレードを加速させる。

「人民法院のデータ管理およびサービスに関する技術仕様書:データ集計」および「基本情報データの構造に関する仕様書」に基づき、計器情報セクションの内容(上記の文書は「人民法院ビッグデータ管理及びサービスプラットフォーム-管理センター-プラットフォーム管理-文書通知-通知」からダウンロードして使用することができる)を慎重に修正し、裁決文書の最終版を地方事件処理システムの管理範囲に組み込む必要がある。

ローカル事件処理システムの管理範囲に裁決文書の最終版が含まれ、「裁決文書の最終版の有無」欄が自動的にマークされる。同じ事件で複数の最終版の判決文書がある場合は、それらをまとめて表示する。

事件処理システムのアップグレードは12月中に完了する。

事件処理システムのアップグレードが完了した後、人民法院のビッグデータ管理・サービスプラットフォームでタイムリーに良い仕事をし、ビッグデータプラットフォームに収斂される事件数の増加に伴い、事件処理システムが毎日判決の最終版に追加されるようにする必要がある。

第四に、全ての形成作業がスケジュールどおりに完了するよう、組織的なセーフガードを強化する。

高級人民法院は、全国裁判所判決文庫の機能、役割、重要な価値の組織と動員を強化し、裁判官と司法補助職員の熱意、自発性、やる気を十分に動員し、各級・各部門の人民法院が一致団結し、相乗効果を形成するようにしなければならない。

通知と検査を強化するため、2024年01月に全国裁判所判決文書データベースをオンライン化することを提案し、全国裁判所職員が4段階の裁判所専用ネットワークで判決文書を検索・取得するのをサポートする。

最高人民法院が定期的に正確性(押印・送達の有無)と完全性(完全性はデータベースの「カバー率」で表される。

この「カバー率」は、実際に最終版司法文書がそろえられた成約事件数/最終版司法文書がそろえられるべき成約事件数*100%)で表される。全国裁判所司法文書データベースが高い水準で立ち上げられ、高い品質レベルで推進され、予定期日までに完成するよう、適切な時期に全国の裁判所に完了を通知する。

各高等人民法院の裁判管理部門と情報技術部門は、それぞれ運営・技術連絡業務を補佐する連絡責任者を指定しなければならない。

業務連絡担当者は、管轄する裁判所の事件処理システムにおいて、完全かつ正確な確定判決文書を適時にアップロードするよう調整し、実施する責任を負う。

技術連絡担当者は、現地の事件処理システムの改修およびデータ報告ルートの技術的回線が円滑かつ安定するよう確保されるよう責任を負う。連絡責任者の情報(氏名、連絡先)は、11月30日にイントラネットのCoCallを通じて最高人民法院の裁判管理弁公室に提出しなければならない。

最高人民法院弁公室
2023年11月21日

(吉田ハンチング@dcp)

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