2022年07月07日、『韓国銀行』から2022年05月時点の国際収支統計が公表されたのですが、金融収支(Financial account)の方に興味深い点があるのでご紹介します。
ドル高・ウォン安のため、韓国の通貨当局はかなりのドルを溶かしています。第1四半期には「83.11億ドル」溶かしたことが『韓国銀行』から公表されて分かっています。
外貨、特にドルの出し入れが激しくなっているのではないでしょうか。
金融収支・証券投資の「債券 負債の部」(Long-term debt securities of P.I., LiabilitiesおよびShort-term debt securities of P.I., Liabilities)を見てみると面白いことが分かります。以下をご覧ください。
長期債券の負債の部で、『韓国銀行』は4億5,440万ドル、韓国政府は28億2,50万ドル、計32億5,690万ドルの負債が増加しています。
負債増加ということは、その分の資金流入。資金調達を行ったわけです。
一方の短期債券の部では、『韓国銀行』は-10億9,740万ドル、韓国政府は-13億8510万ドル、計-23億9250万ドルとなっています。
23億9,250万ドルの負債を減らしたのですが、つまりはこの分の資金が流出していることになります(債務を返済した)。
つまり、『韓国銀行』(Central bank)と韓国政府(General government)は、計32億5,690万ドルを長期債券によって資金調達し、短期債券によって計23億9,250万ドル資金流出させたのです。
なんだかドタバタしていらっしゃいますね。
もっと面白いのは、韓国政府が長期債券で資金調達をしまくっていることです。
以下は、証券投資の負債の部、長期債券のデータを切り出したものです。
黄色にフォーカスしているのが、2021年01~12月の韓国政府が長期債券で積み上げた負債です。
総額はなんと「386億4,390万ドル」になります。
この対外債務の増加は異常という他はありません。2006年以降で1年間における最大の債務増加(長期債券に限る)です※。
ちなみに、コロナ禍に襲われた2020年の債券による負債増は「199億8,240万ドル」です。
これも歴代のデータでは巨額ですが(韓国通貨危機前の2007年が202億2,930万ドル)、2021年にこれが1.9倍に増えたのです。
一方の長期債券による資産(assets)の方はどうなっているかというと、2021年01~12月で「54億830万ドル」に過ぎません。完全な債務増です。
ついでにいえば、2022年01~05月の累計で長期債券による負債は「113億5,440万ドル」に達しています。
というわけで、韓国政府は異常なほど外国からの資金調達を行っています。お金が足りないのでしょうか。
※2005年以前は『韓国銀行』が主体別の債券の負債を公開していないので不明。
(柏ケミカル@dcp)