冒頭でお断りしておきますが、筆者が言っているではありません。韓国の朴正煕(パク・チョンヒ)大統領の言葉です。
朴正煕(パク・チョンヒ)さんは、併合時代の皇民教育を受けて、陸軍士官学校を卒業した人です。李承晩(イ・スンマン)大統領が国民からの支持を失ってハワイに亡命した後、韓国はまさに共産主義者に乗っ取られそうになり――クーデターを起こしました。
決起し、韓国の国権を握って大統領になったのです。
朴正煕(パク・チョンヒ)大統領は「開発独裁」路線をひた走り、現在につながる経済発展を成し遂げました。「経済的」な視点からすれば、韓国史上類を見ない大きな業績を上げた人物です。
西原理恵子先生の「お金がないのは首もないのと同じといって……」ではありませんが、「衣食足りて礼節を知る」は真実です。もし、現在の韓国が礼節を知る国になっているのなら、それは朴正煕(パク・チョンヒ)大統領のおかげです。
世界最貧国といってよかった韓国を貧困から脱出させたることに成功したからです。
一方で朴正煕(パク・チョンヒ)という人は、非常に韓国人と韓国の社会を否定的に見ていました。『韓民族の進むべき道』という著作から彼が韓国人の特徴として挙げた言葉を拾ってみると……。
傍観主義
虚勢
党派意識
特権意識
開拓精神の欠如
自主精神の欠如
利己主義
アイデアの不足
怠惰と不労所得観念
奴隷的な屈辱の固まり
民族愛の欠如
といった非常に否定的な言葉が並びます。「だからこそオレが立って修正するのだ」ということが言外にあったのかもしれませんが、韓国社会を形容して――、
弱く金もコネもない者は生きていけない不平等社会
姑息、怠惰、安逸、日和見主義に示される小児病的な封建社会
情実人事、猟官運動、貧官汚吏、不正蓄財が当然と考えられる価値が転倒した社会
法よりも腕力の強い者が勝つ世の中
――と、こちらも非常に厳しい言葉を浴びせています。これもまた「だからオレが変える」だったと考えられます。実際、朴正煕(パク・チョンヒ)大統領は、併合前、つまりは李氏朝鮮の時代から続く韓国の宗族をコアにした風習を打破しようと努力しました。
例えば「祭祀もいいけど、対象となる代は制限して規模を絞ろうよ」として、世論から猛反発されましたが断行しました。
もし、朴正煕(パク・チョンヒ)大統領がこれを行わなければ、韓国の皆さんの年間スケジュールは法事ばっかりになったはずです。
慧眼な古田博司先生は、この時期に南北で同じように李氏朝鮮由来の朝鮮人の宗族を中心とするコアな慣習が否定されたのは興味深い――という旨の指摘をしていらっしゃいます。
北朝鮮では金日成が別の主義主張からやはり祭祀などを否定して、国民の意識改革に乗り出していたのです。全く体制の異なる南北同時に同じようなことが行われたというのは歴史的な皮肉という他はありませんが、興味深いのは、その効果はあったのか?です。
(吉田ハンチング@dcp)