2022年05月25日、『韓国銀行』が、2022年第1四半期時点での「International Investment Position」(対外資産負債残高:略称「IIP」)を公表しました。
IIPは非常に重要なデータです。
毎月10日前後にご紹介している国際収支統計はフローですが、IIPはストックの統計です。至極下世話にいえば、フローはその時の「いってこい」の記録、ストックは「で、なんぼあんねん」の記録です。
今回のデータで興味深いのは韓国政府が対外債務を非常に増加させたという点です。以下をご覧ください。
上掲のとおり、韓国政府(General government)の対外債務は1,517億ドル。前期よりも72億ドルも増加しています。
2017年から2022年第1四半期までの韓国政府の対外債務の推移を見ると以下のようになります。
2017年は「800億ドル」しかなかったのですが、2022年1Qは「1,517億ドル」と1.9倍になりました。
コロナ禍でお金を調達しなければならなかったとはいえ、この対外負債の増加は異常です。文在寅前大統領は、その5年の治世で政府の対外債務をほぼ倍に増やしたのです。
これは対外債務なので、外国が韓国政府から取り立てる金額です。では、韓国政府が外国から取り立てることが可能な債権の方(資産側)はいくらあるでしょうか。
以下をご覧ください。
452億ドルです。ですので、韓国政府だけ取り出してみると、以下のように対外純債権(NET)はマイナス。
対外債務:1,517億ドル
対外純債権:-1,065億ドル
つまり、外国が韓国政府から取り立てる金額の方が多いのです。
対外債務を返済できない、あるいは借り換え(ロールオ-バー)できないとなれば「世界はそれをデフォルトと呼ぶんだぜ」ですが、『韓国銀行』が以下のとおり、対外純債権で真っ黒なのです。
対外債務: 431億ドル
対外純債権:4,160億ドル
ですので、韓国は大丈夫ということになっています。まあ本当にあれば――ですが。
(吉田ハンチング@dcp)