「猫またぎ」という言葉があります。今回はそんな話です。
対中国貿易で大儲けができなくなった韓国は、中東を有望な市場と見ており、韓国メディアは「中東の夢再び」なんて書いています。
先にご紹介したとおり、過去にあった韓国「中東の夢」は、「補助金じゃぶじゃぶの商売」「過当競争で利益出せず」「手抜き工事乱発」などによって蜃気楼のように消えました。
韓国ウォッチャーからすれば「またかよ」という話なのですが、中国に代わる「大儲けポイント」を見つけなければいけないので本気です。
ところが! 韓国の建設会社がサウジアラビアからの入札依頼をみんなできっぱり断った――という話が出ました。
↑完成すればこうなる予定の「Jeddah Tower(ジェッダ・タワー)」。
サウジアラビアのJeddah(ジェッダ)で建設途中のまま進行せず、2013年に着工されたのにまだ完成していない「Jeddah Tower(ジェッダ・タワー)」です。このタワーは、一名「Kingdom Tower(キングダム・タワー)」といい、完成すれば高さ1,008mの超々高層ビル(ハイパービルディング)です。
↑サウジアラビアで建設途中の「Jeddah Tower(ジェッダ・タワー)」。2013年着工ですがまだ完成していません。
なぜ韓国の建設企業は参加しないのでしょうか。以下に韓国メディア『毎日経済』の記事から一部を引用してみます。
(前略)
31日、建設業界によると、『サムスン物産』と『現代建設』、『大宇建設』は29日の入札期限までにサウジアラビアの「ジェッダタワー」入札に応札しなかったことが分かった。(中略)
2013年にサウジアラビアのビンラディン・グループが施工を担当し、50階まで建てたが、2017年にサウジアラビア政権内の大粛清事件が発生し、工事が中断された。
今年に入ってサウジアラビアは工事再開のため、韓国を含む中国やオーストリア、スウェーデンなど10社余りの建設会社に「ITB」(Invitation To Bidの略:入札招待状)を送った。
韓国では施工能力1~3位の『サムスン物産』『現代建設』『大宇建設』大型建設会社3社が招待状を受け取り、入札の可否を検討してきた。
3社のうち『現代建設』『大宇建設』は事業性とリスクなどを検討した結果、入札に参加しないことを早々に決めたという。
ただ、「超高層ビルの名家」である『サムスン物産』はもう少し内部で悩みが深かったという。事業性だけを見ると、政治・経済的なリスクが大きいが、「最高層ビルの施工会社」という肩書を放棄するのは容易ではなかったからだ。
(後略)
サウジアラビアから入札してくれと要請があったものの、3社ともリスクを考えて断ったのです。ただ、『サムスン物産』だけは「世界最高層のビルを施工した会社」という肩書に目がくらんで「ううむ……」と悩んだようですが諦めた――とのこと。
一度中断されたプロジェクトですので「危ない」と考えた模様です。賢明ではないでしょうか。一度ケチがつくとゲンが悪いですしね。
結果として、韓国は「サウジアラビアまたぎ」を行ったわけです。
ただ、「超高層の呪い」がありますので、サウジアラビアもこの塔は建てない方がいいかもしれませんね。
(柏ケミカル@dcp)