Money1でも先に少しだけご紹介したことがありますが、中国の地方政府は不正会計を行っています。補助金の詐取などはもちろんのこと、収入が増加したように見せかける――といったこともしています。
2023年の財政監査が出ていますが、地方政府の不正について注目が集まっています。
中国語メディア『第一財経』『中新網』などが報じていますが、監査の結果は以下のようなものでした。
(前略)
統計によると、広東省、河北省、四川省、青海省、遼寧省、および内モンゴル自治区の報告では、一部の県や市の政府における財務の不正が明らかにされている。その中で、広東省の3つの市と3つの県は、国有企業による国有資産の購入などの方法で財政収入を171.01億元増加させた。
河北省の1市7県は、公益性資産の虚偽処分、多額の国有資本経営利益や罰金収入などを通じて、財政収入を24.95億元増加させた。
また、四川省の一部地域では、定向寄付金を同級の財政に組み入れ、財政収入を4,151.22万元増加させた。
(中略)近年、財政収支の矛盾が拡大する中で、一部の地方では予算の収支がバランスを欠いており、このような方法で財政資金を調達しようとする動きもある。
虚偽の財政収入報告に加えて、各地の監査報告では、少なくとも15件が医療衛生分野に関連する問題を指摘しており、中には特別監査の対象となったものもある。
指摘された問題には、操作された入札、集団調達薬品などの不正な調達、医療保険基金の不適切な使用、過剰診療などが含まれている。
例えば、湖北省の監査では、6つの大学と1つの病院で、119のプロジェクトが入札規定遵守の義務を怠り、不合理な条項を設けて潜在的な入札者を排除していたことが判明し、これに関わる金額は13.2億元に上る。
さらに、2023年に公表された各省(直轄市、自治区)の監査報告では、少なくとも6件が医療保険基金に言及しており、関わる金額は合計で数億元に達している。
(後略)例えば、北京市の監査報告では、基本医療保険基金の管理に関して、京津冀地域における異地医療費直接精算メカニズムが不十分であることが判明しました。規定に従って異地医療費の直接精算監視制度が構築されておらず、異地医療機関が北京市の100人の被保険者と共謀し、医療保険基金を254.42万元(約5000万円)不正に取得した疑いがあるとされました。
⇒参照・引用元:『聯合早報』「审计报告披露中国地方政府财政造假 虚报收入」
さらっと「広東省:171.01億元」などと書いていますが、日本円にすると「約3,502億円」※ですから、ウソつくにしても巨額過ぎます。
※2024年08月21日の「1人民元=20.48円」で換算しました。
手口や金額はともかく、ご注目いただきたいのは、中国の地方政府が「より収入が多かったように偽装」していることです。
なぜ収入が多かったように偽装する?
なぜ収入が多かったように偽装などするのでしょうか?
理由は以下のような点が考えられます。
●政績評価と昇進のプレッシャーによる
中国では、地方政府の幹部や役人は、財政収入や経済成長率などの数値目標によって評価されます。
これらの数値は、彼らの昇進や政治的キャリアに直結するため、短期的に「成功」しているように見せるために、実際の財政状況を誇張したい誘惑に駆られるのです。特に、景気が悪化しているときには、悪い数字を隠したり、良く見せかけたいという圧力が増します。
●資金調達を容易にするため
地方政府は資金調達を行うために、財政状態を良く見せる必要があります。
例えば、地方債を発行する際には、健全な財政状況を示すことが求められます。財政が悪化しているにもかかわらず、それを隠蔽することで、より有利な条件で資金を調達しようとすることが考えられます。
いずれにせよ、このようなウソの結果が、以下のような「全31省市で対前年比GDP成長率がプラス!」をもたらしたと考えられます。
↑Topは「広東省」で6.52兆元。対前年同期比で「+3.9%」。2位は江蘇省で6.33兆元、対前年同期比「+5.8%」……というように見ます。ご覧のとおり、対前年同期比でマイナスは一つもありません。これを信じろというのでしょうか。
中国語メディアで報じられている監査結果も氷山の一角に違いありません。
中国では報告も経済データもウソばかりなのです。さすが「大朝鮮・中国」というべきでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)