日本でもスパイ防止法が議論になっていますが、実は韓国でも「スパイ法」が議論になっています。
日本式にいえば、韓国版スパイ防止法です。
韓国のスパイ法は「刑法第98条改正法案」として発議されており、その骨格は――スパイ罪の適用範囲を「敵国(はっきりいえば北朝鮮のこと)」だけでなく、「外国など」へと拡大すること――です。
発議自体は2024年11月07日に行われていますが、法制司法委員会の審査が2024年12月08日、国会の第1次全体会議が行われたのが2025年03月12日。
2026年02月05日現在もいまだに国会で通過してはいません(後述)。発議された内容を見てみましょう。まず発議の趣旨です。
刑法一部改正法律案
(金炳周(キム・ビョンジュ)議員 代表発議)提案理由および主要内容
現行法は、スパイ罪を、敵国に利するスパイ行為を行った場合、または敵国に軍事上の機密を漏洩した場合に限って処罰しているため、敵国ではない外国、外国人または外国団体に国家機密などを漏洩した場合は、現行法上スパイ罪に該当しない。しかしながら、最近の国軍情報司令部要員の名簿流出事件に見られるように、伝統的な意味での敵国の対象を拡大する必要があるとの指摘が提起されている。
特に今日では、伝統的な軍事機密だけでなく、先端産業技術は、その経済的・産業的価値のみならず、国家安全保障に及ぼす影響も極めて重大である。
そのため、敵国ではない同盟国間においても産業技術を奪取するための競争が非常に激化しているにもかかわらず、現行法は依然として敵国のために行ったスパイ行為のみを処罰していることから、その対象を拡大すべきだという指摘が継続的に提起されてきた。
⇒参照・引用元:『国民参加立法センターサイト』「刑法の一部改正法案」
韓国の現行法では、「敵国ではない外国、外国人または外国団体に国家機密などを漏洩した場合は、現行法上スパイ罪に該当しない」のです。そのため改正が必要だ――としています。
これは真っ当な指摘でしょう。例えば「中国」は敵国とは認定されていないため、中国に情報漏洩などがあったとしても、スパイ罪にはならないのです。
例えば、尹錫悦(ユン・ソギョル)政権時に「中国人が韓国の軍事基地で撮影と行って当局に押さえられた」のですが、スパイ罪に問えませんでした。
改正案は以下になります。
刑法一部改正法律案
刑法の一部を次のとおり改正する。
同条第1項中
「敵国を為して間諜し、または敵国の間諜を幇助した者は死刑」
を
「敵国および外国ならびに外国団体(以下この条において『敵国等』という)を為して間諜し、または敵国等の間諜を幇助した者は死刑」
に改め、
また、同条第2項中
「軍事上の機密を敵国に漏泄した者も前項の刑とする」
を
「軍事上の機密を敵国等に漏泄した者も第1項の刑とする」
に改める。
法の対象となるのを敵国等として対象を拡大したのです。
改正されると、刑法第98条は以下のようになります。
第98条(スパイ罪)
第一条 敵国および外国ならびに外国団体(以下この条において「敵国等」という)を為して間諜し、または敵国等の間諜を幇助した者は、死刑、無期または7年以上の懲役に処する。第二条 軍事上の機密を敵国等に漏泄した者も、第1項の刑とする。
刑法第98条の改正は喫緊! なぜ進まない?
韓国メディア『朝鮮日報』は、この改正法案について以下のように書いています。
(前略)
スパイ罪の処理は喫緊の課題だ。中国人は、自分たちがスパイ罪の対象ではないという事実を利用し、わが国の軍部隊や武器体系を無断で撮影している。
毎年10件余りにのぼるが、「趣味の活動」だとして釈放されている。
海外への技術流出も、その多くで中国人が犯人だ。
スパイ行為が明白であっても、北朝鮮ではなく中国のために行ったため、スパイ容疑を適用できないのだ。
(後略)
韓国にとって喫緊といわれるこの法改正は、前記のとおり進んでいません。
理由は――政府与党に成りおおせた『共に民主党』が、スパイ罪と「法歪曲罪」が同じ刑法に属する条項だとして、一つの改正案に束ねてしまったため――です。
長くなりますので別記事にしますが、この「法歪曲罪」というのがトンデモない法律で、こんなものを一緒にすると揉めて進まないのは当然なのです。
なぜ二つの法を束ねて、スパイ罪の処理を妨げているのかまったく理解できません。
邪推します。
中国人を逮捕し処罰すると「中国に謝謝」という態度ができなくなるからではないでしょうか。また中国人をスパイ罪で処罰すると、現在の李在明(イ・ジェミョン)さんに連なる人物が芋づる式に引っ張られるからではないでしょうか。
『朝鮮日報』には「OECD38カ国のうち、スパイ罪を敵国に限定している国は、わが国だけだ」と書いています。
日本も韓国のことだから対岸の火事――ではないのです。Money1でも先にご紹介しましたが、北朝鮮-韓国-日本のトライアングルには、反日で結びついた勢力が今も存在します。現在ではこれに中国も関与しています。
日本の「スパイ防止法」を阻んでいるのは誰でしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)






