韓国の航空業界は大手・LCC(格安航空会社)問わず、新型コロナウイルス騒動でどの企業も瀕死の状況です。
韓国のフラッグキャリア(その国を代表する航空会社のことです)『大韓航空』とライバル関係にあるのが業界第2位の『アシアナ航空』です。
『アシアナ航空』もトぶ寸前ですが、実は他の航空会社とは少し事情が違います。
『アシアナ航空』は2019年に身売りが決まっていた
この新型コロナウイルス騒動の前から業績不振で会社の引き受け先を探しており、2019年に『HDC現代産業開発』と『未来アセット大宇』のコンソーシアムが買収することが決まっていました。
12月には『HDC現代産業開発』は、アシアナ航空の株式売買契約と新株引受契約を『錦湖産業』(アシアナ航空のオーナー企業)との間で締結していたのです。
総額は2兆5,000億ウォンで、『HDC現代産業開発』の鄭夢奎(チョン・モンギュ)会長は「この買収で現代グループのモビリティー事業は飛躍する」と述べたのですが……。
新型コロナウイルス騒動で「もって2カ月」という話
……新型コロナウイルス騒動で『アシアナ航空』の業績はさらに低迷。
飛躍どころか「足を引っ張るお荷物」になるので、鄭会長もさすがに諦めて同社を手放すのではないか――という観測が出ています――という記事が出ました。
以下に記事から引用します。
(前略)
鄭会長は、昨年11月に『アシアナ航空』の買収優先交渉対象者選定に関する記者会見で、「モビリティグループの飛躍」を叫んだが、感染症事態で、市場の状況は手に負えないほど悪化した。航空業界ではアシアナ航空の状況を「崖っぷち」と表現するほどだ。
「『アシアナ航空』が自力で持ちこたえることができる期間は、長くて二か月余り」というのが業界内外の見方である。
(中略)
これにより、チョン・モンギュ会長が『アシアナ航空』にどんな決断を下すのかに関心が集まっている。
(後略)⇒参照・引用元:『中央日報』「【エコノミスト】アシアナ航空握って困り果てたチョン・モンギュ会長」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)
鄭会長が『アシアナ航空』に資金を入れて立て直すのをやめるかもしれない、というわけです。つまり買収の放棄です。
また同社が陥っているのは「崖っぷち」どころの資金難ではありません。すでに崖からいくぶんか落ちているといってもいいような状況です。
(前略)
すでにアシアナ航空は、3,000億ウォンの短期借入金の増加を決定したと4月7日公示した。借入金の返済と運営資金に充てるためである。アシアナ航空は、今回の借入金の増加の決定に、産業銀行が昨年支援した1兆6,000億ウォンも使い果たした。
(後略)
というわけで『アシアナ航空』の資金手当てはまさに「待ったなし」です。
で、どうなっているかというと――またしても国策銀行の支援が期待されています。韓国産業銀行と輸出入銀行に『HDC現代産業開発』が相談を持ちかけているらしい、と観測が出ています。
ここまであちこちの企業で火がついていると、本当に「韓国産業銀行自身が持つのか?」という懸念が出るのも不思議ではありません。
(柏ケミカル@dcp)