13四半期連続赤字の韓国の自動車メーカー『双竜自動車』。新型コロナウイルス騒動もあって売上が落ち込み、もはや崖っぷちどころかデフォルトまで秒読み段階です。
70%の支配権を持つ親会社の『マヒンドラ&マヒドラ』(インド企業です)も「新しい投資家を探すべき」と見放していますし、韓国の「基幹産業安定基金」※1も「『双竜自動車』は支援しない」と明言しています。
もう二進も三進もいかない同社なのですが、ここにきて「本当に?」と耳を疑うような話が韓国メディアに出ました。
フォードが『双竜自動車』を買収する可能性がある
というのです。
この件を報じた韓国メディア『ソウル経済』の記事から一部を引用します。
『上海自動車』、『マヒンドラ&マヒンドラ』に続き、『双竜自動車』の新しい所有者が誰になるか関心が集中している。
候補としては、中国の自動車メーカー2社と、米国と欧州の自動車メーカーの名前が挙げられているが、期は熟していない状況だ。
⇒参照・引用元:『ソウル経済』「『双竜自動車』を踏み台に国内市場に進出か…中国『比亜迪』が候補No.1」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)
「期は熟していない」というか「もう地面に落ちてる」ような状況なのですが。
同記事が『双竜自動車』の引き取り手として挙げているのが以下の自動車メーカーです。
アメリカ合衆国:『フォード』
中国:『BYD(比亜迪汽車)』、『吉利汽車』(『浙江吉利控股集団』の傘下)
欧州:『ボルボ』(現在は『浙江吉利控股集団』の傘下)
まず、『フォード』ですが、これは『マヒンドラ&マヒンドラ』と関係が深いので(2019年にインドで合弁会社を設立など)「可能性がある」としています。
『BYD(比亜迪汽車)』は中国第1位の電気自動車メーカーです。「『双竜自動車』を買収して韓国市場に乗り出すのではないか」という推測から挙げられています。
『吉利汽車』と『ボルボ』は中国の『浙江吉利控股集団』傘下の企業ですので、まあ引き取り手候補としては同じです。なぜ引き取り手の候補に挙がっているかというと、かつて『双竜自動車』買収のためにデューデリエンスを行ったというウワサが出たから、だそうです。
誰が「火中の栗」を拾いにいく?
同記事には申し訳ないのですが、「韓国の『双竜自動車』をどこかの会社が買収するはずだ」という前提がおかしいのではないでしょうか。
13四半期連続の赤字を出しており、これまで『上海自動車』『マヒンドラ&マヒンドラ』とオーナーが交代する中でも黒字にできなかった――そんな会社を買収しようという企業が現れるでしょうか。
このようなウワサが出ているうちにも現金が尽きてドボンになるかもしれません。
※1新型コロナウイルス騒動で経営難に陥った韓国の基幹産業を救うために、文在寅大統領の肝いりで作られたファンド。「40兆ウォン規模」と号していますが、いまだにそのお金を集めたという話は聞こえてきません。
(柏ケミカル@dcp)