債務(返済しなければならない借金)の返済できなることを「デフォルト」といいますが、中国企業のデフォルト、しかもドル建て債務(借金をドルで返さないといけません)のデフォルトが2020年になって急増しています。
先にMoney1でも100億ドルに迫る勢いで……とご紹介したことがありますが、ここにきてそれでは済んでいないというデータが出ています。『South China Morning Post』の記事から以下に一部を引用します。
(前略)
フランスの金融会社『Natixis』のデータによると、中国企業によるドル建て債のデフォルトは、昨年の40億米ドルから今年に入って120億ドルへと3倍に急増した。(中略)
しかし、米中関係の急速な悪化と来年満期のドル建て債が多い中で、債券のデフォルトが増加する可能性がある、と『China Chengxin』(アジア太平洋地域)のマネージング・ディレクターZhang Guo氏は述べた。
(後略)⇒参照・引用元:『South China Morning Post』「China’s US dollar debt defaults climb as coronavirus, US tensions hit firms’ bottom lines」(原文・英語/筆者(バカ)意訳)
調査会社によってデータは異なるのですが、2020年すでに中国企業のドル建て債券のデフォルトは2019年の3倍に達しているというのです。また、年末までに満期を迎えるドル建て債券が多いことから、このデフォルト数はさらに増加する可能性がある、と。
では、どのくらいの金額が満期を迎えるかというと、以下のデータです。
『Refinitiv』のデータによれば今年満期を迎えるドル建て債は1,018億ドルで、2021年には10%増加し、2022年にはさらに19%急増するだろうとしている。
このうちどのくらいがデフォルトするかと懸念されるわけですが、重要なのは以下の指摘です。
「脆弱(せいじゃく)で高負債の中国企業に対する市場の懸念は、大規模なドル不足が社債市場の混乱を招いた3月に似ている」とZhang氏は指摘する。
「中国企業のドル債務のデフォルト量は、主に企業のファンダメンタルズが弱く、内部流動性を圧迫しているために上昇している 」とZhang氏は述べた。
「海外でのパンデミックが抑制されていないため、マクロ経済的な要因を考慮する必要があり、一方で合衆国と中国の緊張が中国のドル債務にも影響を与えるだろう」
中国企業はファンダメンタルズが弱いので、それが資金調達の面に影響を与えている、と。経営状況に信認がなければ新たな社債発行や借り換え(ロールオーバー)もできませんから。
さらに合衆国との対立によって、ドルの流動性に問題(要は「ドル不足」)が生じる可能性も高いのです。中国共産党政府の大本営発表を信じてはいけないというわけです。
(吉田ハンチング@dcp)