韓国の国策銀行『産業銀行』が全速力で進めている『大韓航空』と『アシアナ航空』のM&Aの件です。
先にご紹介したとおり、『韓進KAL』の有償増資※について、同社と対立している『KCGI』(Korea Corporate Governace Improvement)が「新株発行停止の仮処分」を申請し、これがまず焦点となっています。
というのは、この有償増資が行えないと『産業銀行』が『韓進KAL』にお金を入れることができず、今回のスキームはその先へ進まないからです。
で、『韓進KAL』からすれば(『産業銀行』にとっても)、『KCGI』の訴えは絶対に退けなければなりません。韓国メディア『亜州経済(韓国版)』の記事では韓進グループの声明を紹介しています。実はその中に面白い部分があるのです。
(前略)
「『産業銀行』と『韓進KAL』の契約においては、『韓進KAL』の有償増資成功が『大韓航空』の『アシアナ航空』買収の第1の前提条件となっている」とし「そのため、可処分が適用されると、『韓進KAL』の有償増資が妨げられ、これによって買収は基本的に不可能になる」と述べた。
(後略)
ここまではいいですね。問題は次です。
「信用格付けの低下および各種債務の連鎖的期限による利益喪失、資本蚕食による管理銘柄の指定、免許取り消しにまでつながった場合、大規模な失業者が発生する事態まで予想される」と説明した。
(後略)
ちょっと待ってくれ、という話です。『産業銀行』と『輸出入銀行』が助ける(+「基幹産業安定基金」もお金を入れると宣言)としたのに、また「6,000億ウォン」のキャッシュが足りない事態に陥ってるのです。
まさに底なし沼。『産業銀行』が急いでいるのはこういう沼からなんとか早く足を抜きたいからでもあります。
※有償増資は新株を発行して資本金を増やすことをいいます
(吉田ハンチング@dcp)