『韓国銀行』が10月の国際収支統計を公表しています。この中の「経常収支」については、「37カ月ぶりの黒字水準」と喜ぶ韓国の報道に冷水をかけるようなご紹介をしました。実は今回の国際収支統計の中身については、経常収支よりもっと興味深い点があるのです。
以下は、韓国の10月の国際収支統計を「経常収支」「金融収支」「資本移転等収支」「誤差脱漏」の4つの要素に分解したときの金額です。
資本移転等収支:-0.1億ドル
金融収支:159.4億ドル
誤差脱漏:43.0億ドル
注目は「金融収支」の「159.4億ドル」(正確には159億4,370万ドル:約1.7兆円)です。これは異常な数字です。
「国際収支統計」は海外との取引の収支を記録したもの。その中で「金融収支」は「金融資産についての取引、その収支」を記録しています。具体的には、直接投資、株式、債券、短期・長期のローンなどの金融資産の取引について計上します。
韓国の金融収支がここまでプラスになったのは、実は1980年01月以来初めてのことなのです。以下に月次のベスト5を出してみます。
第1位 2020年10月:159億4,370万ドル
第2位 2013年05月:123億6,190万ドル
第3位 2016年03月:120億4,980万ドル
第4位 2017年09月:115億2,620万ドル
第5位 2015年10月:112億2,900万ドル
なぜ、このような史上最大まで金融収支がプラスになったのでしょうか? 金融収支の細目を当たってみると、「その他投資(Other investment)」が10月に「112億5,250万ドル」もプラスなのです。
さらに細目を当たると、以下です。
「現預金・資産の部(Currency and deposits, Assets)」が「120億7,670万ドル」もプラスです。その主な理由は「中央銀行を除く預金取扱機関(Deposit-taking corporations, except the central bank)」、つまり「銀行」が「110億5,500万ドル」も現預金を増やしたことです。
赤い楕円で囲った右横、「その他セクター(Other sectors)」も「13億1,360万ドル」、さらにその右「その他金融会社(Other financial corporations)」も「12億5,270万ドル」現預金を増やしています。
韓国の銀行、金融機関は10月にかつてないほど外貨、キャッシュを激増させたというわけです。
(柏ケミカル@dcp)