韓国「国防部」の中期計画の中に盛り込まれた「韓国型軽空母」。2021年02月22日に開催された「第133回防衛事業推進委員会」で韓国軍初めての空母を確保する事業で承認され、「事業費:2兆300億ウォン」(約1,989億円)をかけて推進することになりました。
しかし、「本当に要るのか?」について韓国でも議論が絶えません。
いまだ休戦状態にある北朝鮮が主敵のはずですが、北朝鮮とはすぐ隣の地続きであるため空母が必要とは思われません。
「お金を食うカバ」という記事が出る
この「そもそも要るのか?」という根本的な問いについて、2021年07月06日、韓国メディア『毎日経済』に「21世紀の亀甲船か、税金を食うカバか…『軽空母賛否両論』」という辛辣なタイトルの記事が出ました。
読者の皆さんもご存じのとおり、亀甲船というのは、豊臣秀吉の時代に韓国の英雄とされる李舜臣が率いた船種です。亀甲船になぞらえている時点で主敵が「日本」にすり替わっているような気もいたしますが、同記事では軍内部でも「周辺国との不要な軍拡競争」という意見があると述べています。
以下に記事の一部を引用します。
1990年代から国内で空母導入の議論が行われたにも関わらず、なんの進展もなかった理由の一つは、朝鮮半島自体が一つの不沈空母と同じだという主張にある。
(中略)
しかし、中国や日本など周辺国が海軍力の増強に力を入れ、空母戦力の増大に熱を上げている現在では話が違うというのが軽空母導入賛成論者の説明である。
(後略)⇒参照・引用元:『毎日経済』「21세기 거북선인가, 세금 먹는 하마인가…경항모 찬반논란」
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)
記事タイトルにもある「お金を食うカバ」については以下のように説明しています。
(前略)
財政問題も空母の導入を妨げてきた主要な議論の焦点であった。軽空母を導入するのにかかる費用は、推計方式によって異なるが、軽空母を護衛する護衛艦など軽空母船団維持費まで含めると30兆~40兆ウォン(約2.9~3.9兆円:筆者注)がかかるという分析もある。
これが「お金を食べるカバ」というレッテルが貼られる理由だ。
(後略)
韓国軍では、建造費2兆ウォンは10年間で投じられる金額で「年間2,000億ウォン」(約196億円)なので余裕があると見ています。また、完成後の維持費も年間2,000億ウォンだから大丈夫と踏んでいるようです。
韓国の軍事費はざっくり「50兆ウォン」(約4.9兆円)。このうち戦力維持費として計上されているのは「13兆8,000億ウォン」(約1兆3,524億円)です。
予算的には大丈夫かもしれませんが、そもそも要るのか?が問題なのです。不要なものにお金を投じるのは、いくら予算内といってもむだに過ぎません。
すでに事業として承認されてしまったのでこのまま進むでしょうが、不要なものにお金を突っ込んだ海軍(軍隊)がどのような結果になるのかは歴史が証明しています。
(吉田ハンチング@dcp)