かつて日本は韓国と「通貨スワップ取り決め」を締結していたことがありました。これは、2015年に韓国側が特に要らないといい、日本は渡りに船とばかりに「ああそうですか」として終わることになりました。
しかし、以降も折に触れて韓国側は日本に再契約の秋波を送ってきています。
この契約終了の舞台裏について麻生太郎財務大臣が赤裸々に語ったことがあります。それは、参議院で『日本維新の会』の音喜多俊議員からの質問に答えてのことでした。今回はこの麻生さんの答弁を記事に残すことを踏まえてご紹介します。
まず、音喜多議員の質問は以下のようなものでした。
「次に通貨スワップについて伺いたいと思います。
ご案内のとおり、過去に日韓は通貨スワップの取り決めがありましたが、2015年を最後に終了をしております。
ここ何日か麻生大臣からも発言がありますが、その後、2016年の日韓財務対話において韓国から新しい通貨スワップの提案があり、議論を開始することに合意していたものの、日本総領事館前に慰安婦像が設置されたという事態を受けて協議が中断しております。
現在韓国側から日韓の通貨スワップを望む声が上がっておりますが、通貨スワップの協議が中断した経緯や、近年の日韓関係を踏まえますと安易に協議を再開するのではなく、国際協調と同時に日本の国益を考え、徴用工問題など外交課題の解決を考慮すべきと考えますが、麻生大臣の見解をお伺いいたします」
麻生財務相(国務大臣(副総理)、財務大臣、内閣府特命担当大臣(金融)、デフレ脱却担当:当時)の回答は以下でした。
当時の麻生閣下の回答を当時の答弁動画から以下に文字起こししました。
「長ーい話ですんで。
えーっ……そうですね……外務大臣のころからですから……もう十数年……何百億ほどありましたかね、通貨スワップは。だんだん減ってきて。ずいぶん減ってきたんだと思っておりましたが。
民主党政権の時代にさらにがたっと減ってますわな。
そして安倍内閣が再スタートしたときに確か……音喜多先生、150億ぐらい残ってたと思うんですね。
日銀で50、財務省で100くらい残っておったと記憶しますけれど……だんだん減ってきてますんで、日銀の50が減ったときに……最後の100が財務省になったときに、
向こうの財務大臣に『大丈夫か?』と。『金回んなくなるだろうが』って言ったら『いや、大丈夫』って。『あ、そう』ってほたっておいたら困ったような顔になってきたんですよ。
『もう一回だけ言うぜ。大丈夫か?』って言ったら、『そっちが借りてくれと言えば借りてやらないこともない』とぬかしたものですから、ふざけるなと思って席を立って『はい、さいなら』。それが最後で。
それから今日まで……韓国の場合はウォンと元のスワップをしておられる、と思うんですが、元とウォンの間のスワップじゃ……間に一回入ってそれからドルに換わりますんで、コストが上がるということで、ずいぶん割を食っておられると思いますが。
その後再開というお話がありましたんで、あの、元はといやそっちが断ってきた話だろうが、と。
こっちは言ったのに、そっちが断ってきたのに、何を今さら頼みにくんだよ、と。
ちゃんとしかるべき仁義は踏んでもらおう、という話ですよね。日本的にいえば。
ちゃんとやってもらおうといったらいきなり……例の銅像ができちゃうっていう話ですから。
で、もう全然話になりませんから……今んところ向こうが言っておられるというのは、うわさじゃあ聞いておりますけれども、私たちは財務省として直接その話は聞いたことはありません」
「金回んなくなるだろうが」というのも実に直截な発言です。
麻生財務相の話はとても興味深いものです。韓国が自分からは「締結してほしい」と言い出せないことがよく分かります。
(吉田ハンチング@dcp)