2021年08月30日、韓国メディア『中央日報(日本語版)』に「韓国銀行『欧米の景気は回復加速…日本は不振』」という記事が出ました。
⇒参照:『中央日報(日本語版)』「韓国銀行『欧米の景気は回復加速…日本は不振』」
このタイトルですと、まるで『韓国銀行』が「アメリカ合衆国・欧州の景気回復に比して日本は不振である」といったように取れますが、『韓国銀行』はそんなことひと言もいっていません。
そもそもこの記事の基になっているのは、『韓国銀行』が公表した「海外経済フォーカス(第2021-33号)」という資料。
これは、『韓国銀行』が主要先進国であるアメリカ合衆国・EU・日本、また中国、その他の発展途上国の経済現況を数々の指標を基に紹介した資料です。ですので「日本は不振」などという評価を下すものではなく、淡々とした現状報告書なのです。
以下が同資料の日本を紹介したページです。
日本
日本経済は、コロナ再拡散に対応した防疫措置持続などで回復の流れが微弱日本政府は、東京都、大阪府など13の地域を09月12日まで緊急事態地域(20時以降の営業制限)に指定した(08月17日)
●第2四半期の成長率は設備投資の増加などで小幅プラスに転じた
GDP成長率(前期比):第1四半期-0.9% → 第2四半期0.3%●民間消費もプラスに転じたが、増加幅は前四半期の減少幅に満たない見通し
今後、対外需要が堅調な中、ワクチン接種加速などによる消費の改善に支えられ緩やかな回復の流れを示す見通しワクチン接種率(1回以上):5月末10% → 6月末26.3% → 08月19日には51.6%
当コロナ19の状況と、これに対応した防疫措置が成長に不確実性の要因として作用
(以下グラフなので略:筆者注)
ご覧のとおり淡々とした内容で、「アメリカ合衆国・EUと比較して日本は不振」と断じたものではないのです。景気回復のトレンドが現状では「微弱」とは書いてありますが、これは単に強弱の程度を測ったものであって、不振などという主観的な評価を示したものではないのです。
ですので、『中央日報(日本語版)』の記事タイトルはミスリードを誘うものではないでしょうか。
古畑警部補のような言い回しで恐縮ですが……「いかがですか?」
(吉田ハンチング@dcp)