中国外交畑の大物・楊潔篪さんと日本の国家安全保局長の秋葉剛男さんの会談が行われました。
本件について、中国共産党の英語版御用新聞『Global Times』に「正しい日中関係を保つべき」という、日本政府を説教する社説が出ています。
以下に記事の一部を引用します。
中国共産党中央委員会政治局委員、中国共産党中央委員会外事弁公室主任の楊潔篪は水曜日、天津で日本の秋葉剛男国家安全保障事務局長と第9回日中ハイレベル政治対話の共同議長を務めた。
これは特別な背景の下での日中間のハイレベルなコミュニケーションである。時期が特別であり、大きな意義がある。
両国のハイレベル政治対話は2年半前が最後である。
この間、日中関係は多くの紆余曲折を経験したが、その主な原因は日本の中国政策における明らかな否定的変化、特に最近のナンシー・ペロシ合衆国下院議長の台湾訪問の前後のパフォーマンスなど、台湾問題を巡る日本の言動の一部がひどく、中国国民の日本に対する認識を著しく悪化させたことであった。
日中間の戦略的相互信頼は、全体として急速に低下している。
この傾向を時間内に抑えることができなければ、二国間関係と地域情勢に深刻で破壊的な影響を与えることは避けられない。
同時に、複雑な世界情勢に直面し、日中関係の地域的・世界的意義はより顕著になっている。
中国が「両国が強い責任感を持ち、自らの信念を主張しなければならない」と強調するのはこのためだ。
水曜日の対話は約7時間続いたと伝えられている。
日中のハイレベル政治対話は、なんと7時間も続いたとのこと。秋葉さんもさぞかしウンザリでゲッソリな感じになったでしょう。
『Global Times』なので驚くことではありませんが、日本に対してもしっかり脅迫を行っています。
以下をご覧ください。記事から脅迫部分を引いてみます。
(前略)
日本は日中関係に対して正しい態度をとり、約束を守り、中国の内政に干渉する衝動と二国間関係の基礎に挑戦することを抑制しなければならない。そうでなければ、会談の開催が不可能になるだけでなく、日中関係はさらに悪化する危険性が大きくなる。
その結果は、日本にとって耐え難いものになるだろう。
(中略)
日本は、中国が国家主権と領土保全を守ることに反対することはできない。もっと深刻に言えば、その場合、日本は中華民族の敵になる。
客観的に見れば、中国と日本の間には以前から相互疑念が存在し、近年は複雑な内外の要因によってそれが増幅され、強まっている。
日本は中国の急速な発展に対して不安を募らせ、その不安は全く不要なものであると考えるが、日本がそれを解消することは難しい。
このような不安から、日本は中国の一挙手一投足に神経質ともいえるほど敏感になり、その結果、しばしば過剰反応するようになっている。
一方、周辺諸国は、日本の歴史問題への不完全な内省、「憲法改正と軍拡」への焦り、米欧の軍事力の地域導入と積極的協力の「先取り」から、日本の意図を疑っている。
(中略)
我々は両国(日中のこと:筆者注)が平和的に共存し、友好的に協力することを望んでいるが、我々の核心的利益を害する行為に対しては躊躇なく反撃する。
(中略)
戦略的な判断を誤れば、日本に大きなリスクと不確実性をもたらすだけだ。
(後略)
という具合に、日本を脅していらっしゃいます。
「日本は日中関係に対して正しい態度をとり……」は傑作です。日本に「中国の考える正しい態度」を取れなどと言っていますが、大きなお世話です。
日本は「日本の考える正しい態度」を取らなければなりません。
「台湾は中国の一部である。中国以上にこの海峡の平和と安定を重視し、維持しようとする国が他にあるだろうか」などという鉄面皮な主張もしています。
誰のせいで台湾海峡、南シナ海が大騒ぎになっているのでしょうか。合衆国はじめとする自由主義陣営国、また日本はどこかで台湾を独立国と承認する必要が出てくるでしょう。その時は意外に近いかもしれません。
「周辺諸国は……日本の意図を疑っている」と書いていますが、この周辺諸国というのは「中国」と「韓国」「北朝鮮」のことでしょう(ロシアもか)。日本の周りにはロクな国がありません。だからこそ日本は自衛手段を講じなければならないのです。
これだけ外国に対する脅迫が入っている記事も珍しいですが、それだけ日本が中国の反目に回るのを恐れているともいえます。
日本は粛々と中国の脅威に備えて手を打っていく必要があります。虎狼のような国に真実や誠実さを求めるほど虚しいことはないのです。
↑『UDFきれいなジャイアン(ノンスケール PVC製塗装済み完成品)』(メディコム・トイ)
「正しい日中関係」というのは「きれいなジャイアン」みたいなものでしょうか。
そんなものは実在しないのです。泉の女神さまが出してくれなければ。
(吉田ハンチング@dcp)