「いわゆる徴用工」問題で日韓外交部が激突。代位弁済プランは根本からダメです

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2022年10月25日、日韓の外交次官による会談が行われました。日本メディアでもさまざまな報道が出ていますが、どうなったのかというと……。

以下が韓国の外交部が出したプレスリリースです。


↑左は趙賢東(チョ・ヒョンドン)外交部第1次官、右が森健良外務事務次官。写真は韓国外交部が公開したもの

□趙賢東(チョ・ヒョンドン)外交部第1次官は、日米韓外交次官級協議会に出席し、訪日したのを契機に10月25日、森健良日本外務事務次官と会談を行った。

□両次官は最近高まっている北朝鮮の核・ミサイル脅威に対する深刻な懸念を共有し、北朝鮮問題および多様な地域・グローバル懸案対応において日韓・日米韓間の緊密な連携を持続、強化していく必要性について意見を述べた。

同時に趙次官は、本日、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が施政方針演説で北朝鮮の最近の脅威的挑発について「米韓連合防衛態勢と日米韓安保協力を通じて圧倒的な力量で対北朝鮮抑制力を強化する」と述べた点を強調した。両次官は共感と支持を表明した。

□両次官は、強制徴用問題(原文ママ:引用者注)を含む日韓両国間の主要懸案と相互関心事について深い意見を交換した。

両次官は、昨年の国連総会を契機とした日韓首脳会談開催など両国関係の肯定的な流れが持続していることを評価し、懸案解決および関係改善のために、外交当局間のさまざまなレベルで緊張感とスピード感を持って緊密な協議を続けていくことにした。

一方、趙次官は、相互ビザ免除再開など人的交流復元のための制度的基盤が早急に復元された点を評価し、両国関係の土台である人的交流がさらに活性化できるように、フライト増大などのために一緒に努力していこうとした。

□一方、趙次官は、本日の午後、外務省でウェンディ・シャーマン(Wendy Sherman)米国務省副長官と共に林日本外務大臣を合同予防し、日米韓共助の重要性を強調する一方、地域・グローバル協力などについて意見を交換した。終わり。

⇒参照・引用元:『韓国 外交部』公式サイト「日韓外交次官級会談(10.25)結果」

「いわゆる徴用工」問題を含む日韓の懸案事項について「深い意見を交換した」としています。具体的に、韓国がどのようなプランを持ってきて、日本がどのようにそれを扱ったのかについてはありません。

しかし、深い意見交換の結果どうなったのかが全く書かれていないので、韓国にとって日本側の反応は芳しいものではなかっと見られます。韓国のことですので、少しでも韓国にとって有利な反応があれば、書くはずだからです。

先に行われた、岸田文雄首相と尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領のニューヨークでの懇談を「日韓首脳会談」と書いているところは愛嬌でしょう。

日本側からすれば「お前の中では首脳会談なんだろう、お前の中ではな」といったところです。

日本のプレスリリースは恬淡とした内容

では、日本の外務省が出したプレスリリースを見てみましょう。以下です。

森健良外務事務次官と趙賢東(チョ・ヒョンドン)韓国外交部第1次官との協議

10月25日午後5時40分から約90分間、森健良外務事務次官は、日米韓次官協議に出席するために訪日中の趙賢東(チョ・ヒョンドン)韓国外交部第1次官との間で協議を行いました。

1.両次官は、両国間の懸案や課題を含め日韓関係全般について率直な意見交換を行いました。

森次官から、現下の戦略環境において日韓は互いに協力すべき重要な隣国であり、国交正常化以来築いてきた友好協力関係の基盤に基づき、日韓関係を健全な関係に戻し、更に発展させることが必要である旨述べ、

双方は、先般の国連総会における日韓首脳の指示を踏まえて引き続き懸案について協議を加速化するとともに、外交当局間の緊密な意思疎通を継続していくことで一致しました。

2.両次官は、北朝鮮の核・ミサイル活動の強化は国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦であるとの認識を改めて共有しました。

また、先般の北朝鮮による我が国上空を通過する弾道ミサイル発射等を受けて首脳・外相間を始め様々なレベルで両国間の意思疎通が行われたことを評価するとともに、引き続き日韓・日米韓で緊密に連携していくことを確認しました。

森次官からは、拉致問題について、引き続きの理解と協力を求め、趙第1次官の支持を得ました。

⇒参照・引用元:『日本国 外務省』公式サイト「森健良外務事務次官と趙賢東(チョ・ヒョンドン)韓国外交部第1次官との協議」

日本側のプレスリリースでは、「いわゆる徴用工」問題については「協議を続けます」以外には実のある内容がありません。各種報道でいわれている「韓国が持ってきたプラン」を門前払いしたのならいいのですが、妥協の姿勢を見せたのだとすれば問題です。

なにせ日韓メディアの報じる「韓国の持ってくるプラン」というのが、「ロクでもない内容」でしたので。

ただし、日韓両国が出したプレスリリースを見る限りは、大山鳴動して鼠一匹も出ず、な結果となったようです。

「代位弁済」プランは「代位」の時点で全然ダメです

「いわゆる徴用工」問題の解決策について『ハンギョレ』の記事は以下のように書いています。

韓日外交当局は最近、この問題の解決策として「併存的債務引受」(債権者の同意有無と関係なく、第3者が債務者と約定を結び、ひとまず債務を返済すること)を検討しているという。

共同通信は23日、韓国の「日帝強制動員被害者支援財団」(以下財団)に敗訴が確定した日本企業の賠償金を肩代わりさせる案を中心に、両国政府が本格的な協議に入ったと報じた。

日本政府はこの案なら「受け入れられる」という立場を示しているという。

だが、韓国の財団が日本企業の賠償金を肩代わりするような「果敢な解決策」に踏み切るためには、被害者と遺族の同意が必ず必要だ。

また、高齢の被害者たちがこの解決策に同意するためには、日本企業が彼らに会って謝罪するなど誠意ある姿勢を見せなければならない。

そのためか、趙次官は同日、羽田空港で記者団に「(併存的債務買収は)一つのオプションに過ぎず、決まったことはない。(日本政府と)話し合いの過程にある」と述べるにとどまった。

趙次官は交渉を急がないという立場も重ねて示した。

趙次官は「高齢の被害者を考えれば早く解決した方が良いが、解決のために考慮すべき点が多い。ある時点までにやらなければというふうには急がない」と語った。

さらに「日本政府の態度は今の政権になってから前向きだが、まだ被害者が望んでいるほどの反応とは言いがたい」と付け加えた。

同日も長い間議論が続いたが、依然として韓国が期待する水準の反応はなかったものとみられる。
(後略)

⇒参照・引用元:『ハンギョレ(日本語版)』「韓日外務次官『強制動員の解決策めぐり集中的に議論したが…』」
強調文字、赤アンダーラインは引用者による。

『ハンギョレ』は「日本政府はこの案なら『受け入れられる』という立場を示しているという」――なんて書いていますが、もしそんな反応を本当に示しているなら大問題です。

簡単にいえば、このプランは「代位弁済」ですが、「代位」の段階で全然ダメです。

債務者(この場合は日本企業)と契約を交わした第三者が被害者にお金を払うという建て付けですが、その時点で「日本企業が『債務があった』と認めた」ことになるからです。

日本企業には債務などありません。

ですから第三者が肩代わりなどできません。

日本政府が貫かなければならないのは、「朝鮮半島に対する債務は1965年の日韓請求権協定で全部終わった」という、法を守る姿勢です。

日本政府が代位弁済を認めることは「1965年の日韓請求権協定を自ら破ること」を意味します。

断じてそんな提案に乗ってはなりません。

もし例外を認めてしまえば、1965年の日韓請求権協定はなかったことになり、際限なく韓国の要求を聞かなければならなくなります。もし、岸田政権がそのような判断をするのであれば、それこそ日本の将来に永遠の汚点を残します。「受け入れられる」と判断し、実行した人物は国賊として記録されるべきです。

一つの方法は「日本政府、日本企業は全く関与しないこと」です。

韓国の(愚かな)司法が国内法によって勝手に「債務がある」と判断したので、韓国政府がその債務を肩代わりする。

これで解決するのであれば、日本政府・日本企業は「韓国政府が国内で起こった(愚かな)裁判判決を国内で処理した」で済みます。この場合には、勝手に代位弁済でもなんでもおやりになればよろしいでしょう。

(吉田ハンチング@dcp)

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