「突貫工事だけど、やらねばならぬ」という話です。
2022年10月25日、韓国の『現代自動車』は、アメリカ合衆国ジョージア州ブライアン郡で電気自動車専用工場「現代自動車グループメタプラントアメリカ」(Hyundai Motor Group Metaplant America:略称「HMGMA」)の起工式を開催しました。
この工場は、年間電気自動車を30万台生産できる規模のもので、2023年上半期から本格的工事に着手して、なんと2025年上半期からの量産開始を目指しています。
1,183万平方メートルの敷地内に、『現代自動車』『起亜自動車』「ジェネシス」3ブランドの自動車を生産できるラインを設けます。実質2年ないぐらいで量産までもっていこうという鉄火場な計画です。
2022年03月16日に、インドネシア・ジャカルタに竣工した『現代自動車』初のASEAN内完成自動車工場が77万7,000平方メートルで年間生産台数25万台規模(以下写真)。
↑写真は『現代自動車』公表のプレスリリースより。PHOTO(C)『現代自動車』
このジャカルタ工場が、2019年12月着工で2021年後半に生産を始める予定だったのが上記のとおり、竣工が2022年03月16日。つまり、ざっくり2年と3カ月かかっています(現在は年間15万台規模を生産可能なレベルと報道あり)。
これより大きい規模の工場を実質2年で生産開始までもっていこうというのですから、いかに合衆国工場の建設が鉄火場なプロジェクトであるのか分かります。
このように「無理でもいかねばならぬ」のは、インフレ削減法(略称「IRA」)のためです。
最終組立が合衆国内で行われている環境に優しい自動車とエネルギー省に認めてもらえないと、補助金が出ないものですから、このように突貫で完成自動車工場を建てないといけません。
世界第2位の自動車市場を失うわけにはいきませんので仕方がありませんが、これによって韓国内の雇用は確実に減ります。また、『現代自動車』は韓国内では利益が出なくなっています。
韓国はこれから人口が急速に減少しますので、国内の自動車需要は減っていくのです。『現代自動車』はやがて韓国内の工場を締めていくフェーズに入るのではないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)