2023年01月05~10日の日程で日本の西村康稔経済産業相はアメリカ合衆国を訪問。レモンド商務長官や通商代表部(USTR)のタイ代表ら複数の閣僚と会談を行います。
議題としては、合衆国による半導体関連輸出規制、動き始めた先端半導体製造についての技術協力、またインド太平洋経済フレームワークについてが想定されています。
「半導体を中国に渡さない」という戦術はさらに深化しており、中国の半導体製造が自由主義陣営国の水準に達しないよう製造装置なども渡すな――というところまできました。
この日米の会談については中国の神経を尖らせており、2023年01月04日、中国共産党の英語版御用新聞『Global Times』に牽制記事が出ています。
以下に記事の一部を引用してみます。
(前略)
中国の広大な市場は、日本経済のコア競争力を構成する『東京エレクトロン』および他の日本の半導体企業にとって非常に重要だ。合衆国政府が主要なチップと半導体製造装置から中国を切り離すことを目的とした抜本的な規則を制定することで、日本の半導体企業は合衆国政府のいじめの犠牲になるかもしれない。
少なくとも、日本政府は半導体企業の正当な権利と利益を守らなければなりません。
そうしなければ、これらの企業は合衆国政府によるいじめにさらされ、合衆国の圧力に対する東京の妥協によって引き起こされた経済的損失を被ることになります。
ハイテク貿易は中国と日本の双方にとって有益であり、『東京エレクトロン』をはじめとする多くの日本企業の利益に関係している。
特に、半導体分野で「志を同じくする同盟国」とどのように協力するかを考え、合衆国政府からの圧力に直面するとき、日本の政治家がこのことを永遠に覚えていてくれることを願っている。
⇒参照・引用元:『Global Times』「GT Voice: 中国に対する米国のチップ制限は日本企業に損害を与える」
日本政府は日本企業の利益を考えて行動しろ、といっています。
「ハイテク貿易は中国と日本の双方にとって有益」としていますが、その貿易によって中国が開発する武器が高度になります。中国は先端技術を軍民両方で使うデュアルユースが基本。ミサイルに使う半導体も作らせないという姿勢が重要でしょう。
このような記事が御用新聞に出るということは「効いてる効いてる」です。
「ヘイヘイ! ピッチャーびびってるぞ!」というところですが、日本企業としても中国市場がすっかりなくなると困ったことになります。
「対中国半導体規制」についての日米協議がどういう結果になるか要注目です。
(吉田ハンチング@dcp)