アメリカ合衆国と中国の対立が貿易面において第一弾の合意に達するのではないか、という観測が出て、市場がリスクオンに傾きました。結局また先送りなのでは、という見方もあったのですが、なんとか妥結がなったようで、2020年01月に両国が署名し、その30日後には協定は発効するとのこと。
内容の詳細はまだ明らかになっていませんが、UTSR(United States Trade Representativeの略:合衆国通商代表部)のライトハイザー代表は、「(今後2年間において)中国が合衆国からの輸入を2017年の水準より少なくとも2,000億ドル増やす」ことをコミットした、と述べています。
その代わりに合衆国は、
・12月15日からと予定していた新たな関税賦課を先送り
・発効済みの中国からの輸入品目1,200億ドル分に賦課している関税15%を半減する
としています。ただし、「中国からの輸入品目2,500億ドル分に課している25%の関税については維持する」とのこと。
覇権国家の面目躍如 合衆国に失地なし!
つまり大筋では、合衆国は15日発効予定だった関税の先送りと、発行済み関税90億ドル分(1,200億ドル×15%×1/2)を交換材料に、中国から2,000億ドル分の輸入増という成果を引き出したわけです。
追加関税分が取り引き材料ですから、合衆国はいわゆる貿易戦争が開始された時点から特に失地があるわけではありません。さすが覇権国家の面目躍如といったところですが、こういったところで妥協しなければならなかった中国は、かなり追い込まれていると見なければなりません。
トランプ大統領による追加関税攻勢は「中国が折れるほど」効いたというわけです。日本からすれば「覇権国家がうらやましいなぁ」ですが。中国共産党が「知的財産権の保護強化」なんて方針を打ち出しているくせに、「無印良品敗訴」なんて結果が出るのですからね。つまり日本はなめられているのです。
合衆国は北朝鮮問題に集中しやすくなった
というわけで、揉めに揉めましたが合衆国は妥結を引き出し、中国から一定の成果を挙げたと見られます。これで合衆国は北朝鮮問題に取り組みやすくなりました。
ここにきて「第二次朝鮮戦争」なんてフレーズがささやかれるようになってきましたが、故なきことではありません。もし金ちゃんとこの三代目坊んが不穏なことしでかしたら、核施設の空爆ぐらいはあり得ます。
すでに合衆国海軍の二個任務群が朝鮮半島の北と南で「オンステージ」であるとの情報もあります。現在は休暇シーズンですので年内に状況開始があるとは思えませんが、三代目の行動によっては、合衆国が年明けにある種の作戦を開始する可能性は否定できません。
1991年の湾岸戦争を思い出してください。合衆国が主導する多国籍軍が空爆を開始したのは01月17日でした。もし仮に合衆国が01月に北朝鮮へのある種の作戦を開始するとしたら、01月25日前後が候補日になるかもしれません。
(柏ケミカル@dcp)