アメリカ合衆国と中国の貿易戦争における対立点の一つは「中国政府・中国企業による知的財産権の侵害」をどのように予防し、取り締まるかです。
先にMoney1でご紹介したように、合衆国からの圧力をかわすために中国は「外商投資法」を急遽施行するなどしましたが、このような法律を実際に中国が守るかどうかは分かりません(「外商投資法」については以下の記事を参照してください)。
そこで、合衆国は知的財産権の侵害を行っていないかどうかを判断する第三者機関の設立を中国に提案しているとされます。しかし、中国がそのような機関を認めるわけはなく、どのように合衆国からガラをかわすかを模索しているわけです。
2019年11月24日、中国は「中共中央辦公廳 國務院辦公廳印發《關於強化知識産權保護的意見》」(中国共産党中央委員会の事務局は、知的財産の保護の強化に関する意見を発表)というリリースを出しました。
⇒参照・引用元:『中華人民共和国政府』「中共中央辦公廳 國務院辦公廳印發《關於強化知識産權保護的意見》」
詳細は上記URLを参照していただきたいのですが(中国語)、この中に第五章として、
五、健全涉外溝通機制,塑造知識産權同保護優越環境
外国とのコミュニケーションメカニズムを改善し、知的財産を保護するための環境の形成する
が設けられています。しかしながら実際にこの通達がどれほどの効力を発揮し、これを受けて地方政府がきちんと対応するかは全くの未知数です。
また、知的財産権の侵害を行ったものに対して「罰則を強化する」としていますが、これがどのような量刑になるか不明です。
さらには、合衆国の求める(と考えられる)第三者機関の設立には踏み込んでおらず、結局のところ中国政府のお手盛りで判断される可能性は排除できません。
今回の声明は合衆国との合意に向けた中国政府のアピールと考えられますが、中国人スパイの暗躍が世界各地で暴かれている現状がありますので、この程度で合衆国、ひいては西側諸国が納得することはないのではないでしょうか。
(柏ケミカル@dcp)