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中国・習近平の指示で「中央銀行は国債買いを行うのか」

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『South China Morning Post』が非常に興味深い記事を出しました。『習近平金融工作談話』の中で、2023年10月に行われた「中央金融工作会議」での習近平さんの演説が引かれているのですが、『中国人民銀行』に対して市場での国債取引を増やすように指示した――というのです。

『Bloomberg』も、

(前略)
3月に出版された172ページのこの本によれば、中国は金融政策の手段を拡充させ、人民銀は公開市場操作(オペ)で国債の売買を徐々に増やすべきだと習氏が述べたという。
(後略)

と(驚きをもって)書いています。じゃあ買いオペを行って量的金融緩和(QE)なのか?という話なのですが、『Bloomberg』では――演説自体が古いものだし、『中国人民銀行』も慎重にいくのではないか――と「疑問符」をつけています。

景気が浮上する気配がありませんので、市場から国債買いを遮二無二に行って、じゃぶじゃぶお金をまくぞ!――というのは「アリ」かもしれません。なにせ、『中国人民銀行』の国債保有額は1兆5,200億元で、『中国人民銀行』総資産の3.4%でしかないのです。

2024年02月末時点。公表データを信じるのであれば。

連銀が61%、『日本銀行』が78%、『欧州中央銀行』が58%なので、『中国人民銀行』ははるかに自国債を保有していない中央銀行なのです。

ですから(というのもヘンですが)やる余地は十分にあります。ただし、普通なら「利下げの余地がもうない」といった条件下で踏み切るもので――だからこそ『Bloomberg』も「量的金融緩和じゃないだろうし、やんないんじゃないの」と疑問符を投げかけているのです。

中国は現在「デフレって言うなー」というぐらいデフレを恐れています(人から言われるのも嫌)。お金をじゃぶじゃぶまけばお金の価値が下がって物の価値が上がるので、デフレには効くかもしれません。

ただ、ここでお金をじゃぶじゃぶまいて「やぶ蛇で“ドがつくインフレ”が進みましたー」でも困ります(まいてもまいても効かない可能性もあります:現在がそう)。

問題は「他ならぬ習近平さんが言った」となっていることです。「習近平の指導する新たな社会主義」を標榜する国です。「オレがやれって言ったろうが!」で「Go」しないでしょうか。

(吉田ハンチング@dcp)

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