さすがに韓国も気付いたか――という話です。
アメリカ合衆国のブリンケン国務長官が訪中し、習近平総書記と会えました。バイデン政権は対中国姿勢を軟化したいのかもしれませんが、議会がそれを許すかどうかです。
リアルタイムでご紹介し損ないましたが、反中大将として有名なマルコ・ルビオ上院議員の手に成る「台湾保護および国土強靭化法案」(Taiwan Protection and National Resilience Act of 2023)が2023年06月13日、外交委員会に上程されているなど、議会の反中国の動きは衰えてはいません。
政府が新冷戦を緩和したくても反中国の動きは恐らく止まらないでしょう。半導体戦争についても中国に対して手を緩めることは考えられません。半導体を中国に渡さないことが肝だからです。
これで割を食うのは韓国です。現在のところ「半導体強国」と自称していますが、優位性はそれほど確かなものではありません。日本がいよいよ本気で巻き返しを図るのではと、戦々恐々で、かつ合衆国と台湾は韓国をほとんど無視した動きをしているからです。
韓国メディア『朝鮮日報』に興味深い記事が出ていますので、一部を以下に引用します。
30年ぶりの「半導体復興」を夢見る日本が最も最初に立ち向かう相手は韓国だ。
日本は昨年11月、『トヨタ』、『ソニー』、『ソフトバンク』など自国代表8大企業を結集して『ラピダス』という半導体企業を作り、2027年に2ナノ半導体生産を目標に掲げた。
合衆国『IBM』は現在40ナノレベルである『ラピダス』の2ナノを現実化させる「技術パートナー」として参加した。
台湾の『TSMC』が圧倒的なシェア(60%)で1位を守り、『サムスン電子』(12%)が追いかける世界半導体ファウンドリー(委託生産)市場に、強力な後発ランナーである「日米連合軍」が参入したことになる。
(中略)
グローバル協力も同様だ。いわゆる「Chip4同盟」ではなく、日本は合衆国、台湾と事実上「Cip3」という言葉が出るほど活発な協力関係を続けている。
相対的に疎外された韓国とは対照的な動きだ。
合衆国、台湾の半導体企業が日本に大規模生産拠点を増やせば、生態系の中心が日本に集まり、日本の素材・装備企業の協力・供給でも自国が優先される可能性がある。
半導体専門家は、日本の「2ナノ挑戦」は現実性が低い側面があるが、無条件に失敗すると予想するのは危険だと話す。
ポステック産業経営工学科のチョン・ウソン教授は、「合衆国・日本・台湾はそれぞれ半導体設計、素材・装備、先端製造で世界最高の競争力を備えている」とし、「彼らが三角協業体制を構築し、緊密に協業すれば、予想より早く日本の2ナノ半導体生産が可能になるかもしれない」と話した。
⇒参照・引用元:『朝鮮日報』「일본의 첫 목표는 ‘2나노 파운드리’ 한국」
『ラピダス』がどのような成果を挙げるかについては、まだ分かりませんが、日米台の協力は深まっており、事実上の「Chip3」であって、韓国は疎外されている――と危機感を露わにしています。
しかし、これは地政学的に仕方がない面があります。
そもそも北朝鮮の火砲の射程内に首都があるような国に重要なファウンドリー設備を造るわけにもいきません。実際、韓国政府が打ち出した新設半導体クラスターなるものも、首都近くに造ろうという話で、北朝鮮リスクをどう考えているのか疑いたくなるような計画です。
また、計算してみると「水が足りないぞ」となっており、このような計画がいつ実現するのか不明です(以下先記事参照)。
また、中国への技術漏洩という点を鑑みれば、韓国を最先端の技術同盟に含めるのは危険といえるでしょう。
韓国でも「Chip4」という言葉をとんと聞かなくなっていますが、実際「Chip3」というのが実情です。韓国抜きでも話は前に進みます。くれぐれも中国に技術を漏らさないように細心の警戒が必要です。
(吉田ハンチング@dcp)