アメリカ合衆国と中国との貿易戦争が激化し、どちらもメンツを懸けて引けなくなっています。
どちらが焦っているかといえば、もちろん合衆国です。
中国共産党の場合は、たとえ中国共産党人が何億人死のうが、企業が何社デフォルト騒ぎを起こそうが、別に眉一つ動かしません。
中国共産党の支配を維持するための人民解放軍と警察(特警)が味方であれば、どうとでもなるからです。人民など、どんどん弾圧すればいいですし、人民が暮らしていけなくても中国共産党の支配層が困るわけではありません。
しかし、トランプ政権はそうはいきません。国民からの支持を失えばそれきりです。
自由民主主義の難しいところであり、素晴らしい点でもあります。
高い関税の掛け合いによって、もはや物を運んでも全然儲からないから無駄でしょ――という状態で、中国から合衆国への「貨物輸送」が著しく減少しています。減り方は恐ろしいほどです。
↑『Vizion』は海上および鉄道のコンテナの動きをリアルタイムで追跡し、最新のステータスを提供してくれるサイトです。
例えば、海上および鉄道コンテナのリアルタイム追跡を提供する『Vizion』の情報によると、中国から合衆国に向かう20フィートコンテナの予約量は、対前年同期比で「45%も減少した」としています。
『ICC』(International Chamber of Commerceの略:国際商工会議所)のJohn W.H. Denton(ジョン・W・H・デントン)事務局長は、「現在、合衆国と中国が関税をいつ撤廃するか分からないため(業界は)できる限り出荷を先延ばししている」と説明しています。
『Bloomberg』は独自の集計を行っていますが、それによると、2025年04月26日時点で、中国発合衆国向け貨物船の数は40隻まで減少。04月05日は「67隻」でしたから、約40.3%減りました。
こういうデータもあります。
香港の貨物運送会社『Easyway Air Freight Ltd.(イージーウェイ・エア・フライト)』によると、航空貨物量も急減しているのです。04月に入って、中国発合衆国向け貨物量は前年に比較して約50%縮小――となっています。
どの流通データを見ても、中国 ⇒ 合衆国の貨物輸送は40~50%縮小している――というのが現実のようです。
興味深いのは、『Financial Times』が「現場で感じられる体感(の物流縮小)は、統計以上に深刻だ」と報じていることです。同紙によると、台湾の船会社『TS Lines Co., Ltd.(TSライン)』は最近、アジアから合衆国西海岸向けの一部貨物サービスを中止したのですが、その理由は――、
「合衆国向け貨物需要がないため」
――とのこと。
実際、ロサンゼルス港に05月04日に到着予定の中国発貨物は、1年前に比べて約3分の1減少しています。
面白いのは、中国の越境ECサービス『SHEIN』は、合衆国の小口免税制度廃止を控え※、商品価格を最大377%引き上げる方針を示していることです。
※2025年05月02日午前0時1分(東部標準時)より、中華人民共和国(PRC)および香港からの対象物品について、関税免除を終了します。
トランプ大統領の支持率が落ちる中、どのように決着をつけるつもりなのか、合衆国のお手並みを拝見したいですね。
(吉田ハンチング@dcp)