中国の『生迪光電科技股份有限公司』が飛んだ――ということで、2025年04月28~29日、浙江省嘉興市桐郷市烏鎮で大規模な労働者(千人規模)による抗議事件が発生しました。
↑『生迪光電科技股份有限公司』のホームページはすでにアクセスできなくなっています。
恐ろしいのは、2024年初頭から給与が支払われていなかった――という情報が出ていることです。この給与未払いは諸説出ており――「3カ月だ」「いや私は6カ月未払だ」と、会社を糾弾する怨嗟の声がSNSに満ちています。
↑「給料を返せ」「給料をくれ」と会社に詰め寄り抗議する従業員の皆さん。
日本ではほとんど知られていない企業ですが、中国企業情報プラットフォーム『企查查』のデータによれば、同社は「LED照明製品の研究開発・製造」を生業としており、Wi-Fi拡張機能付きLED照明「Boost」、音楽再生機能付きLED照明「Pulse7.1」といった商品で知られていました。
↑WiFi信号増幅器、スピーカー、カメラ、ビデオ録画、モーション検出などの機能が統合されたLED電球。「顔認証」機能も備わっている――とのこと。
↑WiFi信号を増幅する機能を持つ「ブースト」LED電球を使えば、室内のデッドスポットがなくなる――そうです。
同社はすでに「飛んで」おり、中国の裁判所によって「被執行人(強制執行対象)」として登録されています。
今回、従業員からの猛抗議で興味深いことが明らかになりました。詰め寄られたある工場責任者は――、
「会社がサプライヤーから訴訟を起こされて口座が凍結されたため、当面の間賃金を支払う力がないと」
――と説明したとのこと。激昂した元従業員の皆さんは「いつ給料を受け取れるのか知りたい」と訴えました。
『Radio Free Asia』は本件について、「生迪光電」で数年間働いていた冯さんからの証言を記事にしています。
以下に引いてみます。
(前略)
冯さんは、従業員による抗議が事実であることを確認した。彼は、「『生迪光電科技』は当地では比較的大きな企業だが、半年前から賃金の未払いが始まった。しかし会社には注文が入り続けていたため、従業員たちは仕事を続けていた」と語った。
さらに、「数日前に会社が倒産を発表し、未払いの給料も支払われないことが分かったため、従業員たちが抗議行動を起こした」と述べた。
冯さん自身も被害者であり、「いつ給料が受け取れるか分からない」と述べた。
また、冯さんは以下のように述べた。
「工場はかなり大きいが、すでに破産を宣言しており、倒産して数日がたっている。従業員の給料はすでに何カ月も滞納されている。
私も契約を切られた。(不払いなのは)半年分の給料、だいたい6〜7万元(約130〜150万円)だ。
『生迪光電科技』側は今や基本的に無視していて、給料は支払われない。
毎日、従業員たちが訴えに行っているが、無駄だ。ここで待ち続けても意味がない。
仕方ないから、政府の調整・手配を待つしかない。
そして、いつこのお金が(従業員の)手元に支払われるかは、さらに待たされるかもしれない。
私はもう待たないことにした。外に出てどこか回って、たとえ最初はホテルでサービス員をやるにしても、何かしら社会保障を得られる方がいい。
今は仕事を探すのが本当に難しい。最悪、家に戻って農業をやるしかない」
(後略)
同じく『企查查』のデータによれば、同社が不履行の債務は1,689万4,200元(約3億3,400万円)となっています。これにプラスして従業員の皆さんの給与が不払いなわけです。
中国の不景気は深刻で、企業が従業員に対する給与不払いのママで飛ぶなど「普通のこと」になっています。
(吉田ハンチング@dcp)