2025年07月02日、韓国の『KITA』(Korea International Trade Associationの略:韓国貿易協会)が「トランプ第1期以降の米国輸入市場輸出競合構造の変化と示唆」という非常に興味深いリポートを出しました。
トランプ関税の猶予期限が2025年07月09日までですが、韓国も妥結していません。
韓国メディアでは、もはや期限までにアメリカ合衆国と合意に達するのできないだろう――という観測が強くなっています。
『KITA』のリポートは以下のように書いています(面倒くさい方は引用部分を飛ばして次の小見出しまで進んでください)。
最近、トランプ第2期政権は「アメリカ・ファースト(America First)」を強化し、全方位的な保護貿易措置を実施している。
本研究では、アメリカ合衆国の対中国けん制および保護貿易基調の長期化にともない、合衆国の輸入市場において韓国と主要輸入国との競合構造がどのように変化したかを分析し、第2期政策が韓国の輸出に及ぼす影響を検討した。
2025年01〜04月、合衆国の全世界からの輸入は過去最高を記録したが、韓国からの輸入は逆に減少し、韓国の輸入順位は前年の7位から3ランク下がって10位となった。
品目別に見ると、全15品目中、11品目では合衆国の対世界輸入が増加した一方で、韓国からの輸入が減少した品目は7品目にのぼった。
主に自動車および部品、機械類など、合衆国の産業育成政策が集中されている品目で輸入減少が顕著であり、それぞれベトナムおよびメキシコが韓国にとって代わったことが明らかになった。
合衆国の輸入上位9カ国を対象に輸出競合度(ESI:Export Similarity Index)を分析した結果、2024年のアメリカ輸入市場において韓国と競合度が高い国は、日本、ドイツ、メキシコの順であることが示された。
これらの国々は、対米最大輸出品目が韓国と同じく自動車であり、類似した輸出構造を持つ点が特徴である。
一方、2016年と比較して、韓国との輸出競合が深まると同時に市場シェアも拡大した国としては、メキシコとインドが挙げられる。
反対に、米中貿易摩擦の影響により、中国は市場シェアおよび輸出競合度ともに最も大きく低下した。
また、カナダ、ドイツ、ベトナムなどとの輸出競合は緩和される傾向にあると分析された。
日本との競合度には大きな変化が見られず、依然として韓国の最大輸出競合国である地位を維持していることが明らかとなった。
(後略)
中国との貿易では黒字にならなくなっているため、貿易1本で食べている韓国としては合衆国市場から締め出されたら「おしまい」です。
上掲の説明の中にありますが、実は韓国の対米輸出(合衆国から見ると輸入)は減少しています。
合衆国の輸入は「韓国と中国だけ」がマイナスに転落!
以下は今回のリポートの中にある「合衆国の2025年01~04月の貿易相手国別の金額およびシェア」の表組です。
2024年、合衆国の国別輸入金額において、韓国は第7位でした。シェアは「4.0%」です。
ところが、2025年01~04月には第13位にまで転落。シェアも「3.4%」に低下しています。
またご注目いただきたいのは、輸入金額の対前年同期比の増加率です。
2025年01~04月の合衆国の輸入金額は対前年同期比で「19.2%増」の「1兆2,242億ドル」です。
「1兆2,242億ドル」は合衆国にとって過去最大の輸入金額なのですが、この表組に挙がった国はほとんどが対前年同期比で金額を伸ばしています。
しかし、リストの中で減らした国が2つだけあります。
中国:-0.9%
韓国:-5.0%
――です。
これで猶予期間が終わり、トランプ関税が発動したらどうなるでしょうか?
(吉田ハンチング@dcp)