先の記事などで韓国の銀行が四苦八苦している様(さま)をご紹介してきましたが、ついに銀行自身からのぼやきが報道されるに至りました。
『朝鮮日報』2020年04月10日の記事から以下に引用します。
(前略)
国策銀行である産業銀行の役職員は、最近コロナ発の経済危機の進行状況に神経を尖らせている。経営難に苦しむ企業が相次いで政府と産業銀行を相手に資金支援を要請しているからである。
産業銀行はIMF外国為替危機(アジア通貨危機のこと)や世界的な金融危機(韓国通貨危機のこと)など危機のたびに、一時的に不良に陥った企業の「リハビリ病棟」の役割をしてきた。
問題は、治療を担当する産業銀行も良い状態ではないことだろう。
アシアナ航空のようにリハビリを終えて退院させようといた企業が、コロナ事態でまた患い横になった上、1兆ウォンの緊急輸血を受けた斗山重工業のように、新しい患者まで続出しているからである。
金融界では、「不良企業の治療途中、私たち(産業銀行)まで不良になることはないか」という懸念が出ている。
(後略)⇒参照・引用元:『朝鮮日報』「不良企業の処理も大変なのに…」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
※赤アンダーライン、( )注釈、強調文字は筆者による(以下同)
国策銀行の一つである産業銀行が「もういい加減にしてくれ」とうんざりしている様子が窺(うかが)えます。笑うと不謹慎のそしりを免れそうにありませんが、あっちからもこっちからも「お金出せ!」といわれたらこうなります。端から見ている分には、すみませんが笑ってしまうような悲喜劇です。
政府は役に立たなそうな「なんとか安定ファンド」に「お金を出せ」なんていってきますしね。
ちなみに『アシアナ航空』は航空業界が経営危機に陥っておりますので、また要治療になってしまいました。
1兆ウォンの支援が行われることになった『斗山重工業』は、以下の記事でご紹介した「東芝から盗まれたHDDのデータが渡ったのではないか」といわれる企業です。韓国の原発産業の一翼を担っており、ここがトぶと原発産業の維持が危うくなります(実は文大統領の「脱原発」政策でもう「なっている」のですが)。
多くの不良案件で「金を出してくれ」といわれるため、「私たちまで不良案件になるのでは?」と恐れているような状況なのです。無理もないことでしょう。
同記事最後に以下のように関係者の言葉が引かれています。
ある国策銀行関係者は、「過去には、金融当局が構造調整の基準と原則を立ててくれたのでスピーディーに業務を処理することができた。しかし、今回は誰も責任を負おうとしない」と述べた。
韓国で顕在化しつつある「四月危機」ですが、政府の無責任な指導のために銀行自体が危機に陥ることもありそうです。
(柏ケミカル@dcp)