韓国経済が危機的状況に陥っていますが、文在寅大統領は「韓国の基幹産業を守る」と宣言し、そのための「基金」を作ることになりました。
2020年05月05日、この「基幹産業安定基金」の発足準備会合が開かれ、国策銀行である産業銀行は設立準備に入った旨を発表しました。
以下のように韓国メディアで記事になっています。
⇒参照・引用元:『韓国経済』「産業銀行、40兆の基幹産業基金を迅速操作、設立準備団発足… 『今月にも業務開始』」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
規模は予定どおり「40兆ウォン」で、この財源は「政府保証の基幹産業安定基金『債権』」を発行して賄(まかな)うとのこと。
上掲の記事でもご紹介しましたが、この構想は極めてムリっぽいのです。以下がこの「基幹産業安定基金」構想のイメージ図です。
①40兆ウォンでは足りそうもない
②債券を発行して引き受け手がいるのか
という根本な部分で無理スジだといえます。「航空」「海運」「自動車」などの基幹産業を支援するための基金と位置づけていますが、自動車業界が求めている支援パッケージだけで「32兆ウォン」。
海運業に文大統領が約束した支援規模だけで「12兆5,000億ウォン」ですから、これを足すだけで40兆を超えますのでアウトです。さらに支援を始めている航空業界もこの先、いくらいるのか分からない「底なし沼」の状況です。
②の債権発行問題ですが、これだけ景気が悪化し投資家心理が冷えているところに40兆ウォンもの債券を発行できるかが疑問です。国民支援のため足らない資金を調達するのに国債も増発している状況なのです。この新たな債券は債券市場で消化できるのでしょうか。
韓国メディアの記事では、「政府が40兆ウォン規模の発行を考えている場合は規模が大きすぎて何を言うべきか分からない」という債券市場関係者の言葉が引かれているぐらいなのです。
⇒参照・引用元:『聯合ニュース』「基幹産業基金40兆ウォンも『事実上国債の調達』…債券市場の爆弾か」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
いや本気で考えているのですよ。
そもそもが無理スジの話なのですが、さらに「そんなことをやっていて間に合うのか?」という疑問があります。
先に紹介したとおり、資金難に陥っている企業の中には「もっても06月末まで」などといわれている会社もあるわけです。やるならやるで至急債券を発行し、入手した現金を企業に突っ込まないと間に合いません。
一番簡単な解決方法は、債券を発行するにしてもそれを全部中央銀行である韓国銀行が引き受けることです。現在ですら「韓国版無制限の金融緩和」を行っているわけで、今となっては40兆増えても同じことでしょう。
(柏ケミカル@dcp)