中国の王毅外相は訪日後に、韓国に向かい要人との会談を行いました。早速中国の外務省では、「王毅外相と韓国の康京和(カン・ギョンファ)外交部長官との会談で10の合意に達した」という文書が公表されました。以下です。
1.引き続き、疫病対策協力を強化し、共同予防と管理を強化し、「ファストトラック」の適用範囲を改善し、徐々に拡大する。北東アジアの健康と抗疫病協力メカニズムの確立を促進する。
2.「中韓関係未来発展委員会」の設立。2022年には中国と韓国の外交関係が樹立されてから30周年を迎え、今後30年間の中国と韓国の関係の発展の青写真を計画する機会とする。
3.中国と韓国の間の外交安全保障に関する「2+2」対話を開始し、海洋問題に関する対話を開始し、外交安全保障への相互信頼を高め、海洋問題における協力を促進するために、中国と韓国の外交機関の間で新しいハイレベルの戦略的対話を開催する。
4.2021年と2022年に「中国・韓国文化交流年」活動を開始し、中国と韓国の外交関係樹立30周年を記念する。
5.「一帯一路」イニシアチブと韓国の国家開発戦略との整合を加速し、第三者市場での協力を促進し、新興産業などの主要分野での協力を強化し、両国の質の高い統合開発を深める。
6.中国と韓国の自由貿易協定の第2段階にできるだけ早く到達し、「中国と韓国の経済貿易協力のための共同計画」(2021〜2025)をできるだけ早く発表して、二国間の経済貿易協力のより良い条件を策定する。
7.北京冬季オリンピックと江原道冬季青年オリンピックの開催に対する相互支援を行う。疾病の流行が効果的に抑制された後、文化交流をさらに活性化させる。
8.引き続き協力して、半島の平和と安定を維持し、半島問題の政治的解決を促進する。中国は、南北関係の改善と発展、そして和解と協力の進展を確実に支持する。
9.中国は、第9回日中韓首脳会議の開催において韓国を支援する。双方は日本と協力して、日中韓国自由貿易協定の交渉プロセスを積極的に推進する。
10.地域の包括的な経済パートナーシップ協定を共同で推進し、できるだけ早く発効し、多国間主義と自由貿易を保護し、開かれた世界経済の構築を促進し、気候変動などの世界的な課題に取り組むために協力する。
ご覧いただけば分かるとおり、中国は韓国を自陣営に取り込むための言質を取ったようです。
「3」では、歴史上まともな外洋海軍を持ったことがない韓国と「海洋問題に関する対話を開始する」としています。
「5」では、韓国の国家戦略を「一帯一路」構想と整合性を持つものにしろといっています。韓国はよその国に国家戦略を強要される事態になっています。
「6」「10」では、中韓の経済的結び付きをさらに強めようといっています。韓国を自陣営に取り込むつもりですね。
「9」では、日中韓サミットを開催するために韓国を支援するぞといっています。全く大きなお世話です。われらが菅首相は「韓国政府がいわゆる徴用工問題について、日本企業の差し押さえられた資産を現金化しないと公式に認めなければ訪韓しない」と明言してます。
ですので、日中韓サミットの開催は望み薄です。
このように10の合意を並べてみると、韓国を取り込むという目的において、王毅外相の訪韓は大いに効果があったといえるでしょう。
――韓国はどうするつもりなのでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)