かねてよりEU懐疑派の経済学者が指摘していたことを、ついにフランスのル・メール財務相(Bruno Le Maire/Ministre de l’Économie et des Finances)が公に口にするに至りました。ロイターの報道によれば、11月11日付けのハンデルスブラット紙(ドイツ)において、
「財政統合なしにはユーロ圏は長期的に存続できない」
とした上で、
「ユーロ圏を将来の危機から守るための銀行・資本市場同盟の完成に向けて、ドイツとフランスは妥協点を見出す必要がある」
と明らかにしたそうです。ノーベル賞経済学賞を受賞したポール・クルーグマン(Paul Robin Krugman)さんもその著作の中で述べていますが(同氏はEU懐疑派)、EUの最大の問題は「統一通貨を使っているにも関わらず財政統合が行われていないこと」です。ドイツがEU域内諸国を赤字に追いやり、利益を吸い上げている状況は、財政統合を行い富の再分配を行うことで解消できます。
EUという大義が存続し続けるためには、何らかの形で財政統合を進めなければなりません。すでにイタリアにおいて亀裂が走っていますが、放置すればイタリアだけでなく他の赤字国でも反EU機運が高まるでしょう。大きくなった軋みがついにフランス財務相の口を開かせたわけで、壮大な実験であるEUはいよいよ正念場を迎えます。
⇒データ引用:『ロイター』「ユーロ圏、財政統合なしには長期的に存続できず─仏財務相=独紙」
https://jp.reuters.com/article/eurozone-banks-srf-idJPKCN1NH0FW?il=0
(柏ケミカル@dcp)