【-9.5千億】造船大手『サムスン重工業』2期連続赤字。受注ラッシュなのになぜ?

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日本メディアでもしばしば取り上げられるので、韓国の造船業界は景気が良いと考えている方も多いかもしれません。

確かに、2020年第4四半期ぐらいから受注が大幅に増加し、韓国メディアには「ジャックポット」という惹句が目立つようになりました。

2021年に入ってからも受注ラッシュは続きました。

華々しい成果に見えるため、2021年05月10日、文在寅大統領は「造船業が没落の危機から圧倒的な世界1位として復活しました」と自身の大統領就任4周年記念演説で述べたほどです。

本当に復活したのか?という話です。2021年第2四半期の決算が出ているのですが、『サムスン重工業』は2期連続赤字となりました。

『サムスン重工業』累積9.5千億の赤字

以下が2021年07月30日に公表された『サムスン重工業』の第2四半期の決算です。

2021年第2四半期
総売上:1兆7,155億ウォン(約1,630億円)
営業利益:-4,379億ウォン(約-416億円)
当期純利益:-4,474億ウォン(約-425億円)

⇒参照・引用元:『韓国金融監督院 電子公示システム』公式サイト「サムスン重工業」

上掲のとおり、累積で見ると2021年は「営業利益:-9,447億ウォン」(約-897億円)「当期純利益:-9,833億ウォン」(約-934億円)と大赤字です。

韓国の造船業が景気がいいと考えている方は以下の『サムスン重工業』の総売上の推移をご覧ください。


単位は億ウォン

⇒参照・引用元:『サムスン重工業』公式サイト「財務ハイライト」/スクリーンショット

上掲のとおり、『サムスン重工業』に総売上は「2014年:1兆2,879億ウォン」からどんどん下がって、「2020年:6,860億ウォン」です。

要するに、韓国の造船業というのは弱体化しているのです。

受注ラッシュなのになぜ赤字になるのか?

業界全体が弱まっている件はともかく、派手な受注ラッシュなのに業績が悪いのはなぜでしょうか?

造船業は、受注してから納品までの時間が長いため、現在進行している売上・利益は過去の受注を反映したものになる、というのが大きな理由です。最近晴れがましく報道された受注の反映ではない、のです。

次に、その過去の受注そもそも適正価格で受注したのか?という話があります。

『サムスン重工業』は今回の赤字について、下半期に鋼材の価格が上昇することを予想し、追加のコストアップ分「3,720億ウォン」を今期に計上したため、と説明しています。

ただし、『韓国造船海洋』の決算をご紹介したときに触れたとおり、この言い分について、鉄鋼業界は反発しています。自分たちが安値で受注して利益が出ないのを鋼板の価格に責任転嫁している――と。

鉄鋼業界の言い分が本当なら、韓国の造船企業は「とにかくまず安値で受注して、採算は後で合わせる」みたいな商売をしていることになります。

自分自身が赤字になって損をするのは勝手ですが、よその国の造船企業にも迷惑をかける(その分の仕事が減る)のでぜひやめていただきたいですね。

(吉田ハンチング@dcp)

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