インド、パキスタンの軍事的金緊張が高まっていますが、パキスタン側から捕虜としたインド空軍パイロットの返還を持ちかけるなど、柔軟な姿勢を見せています。これは、パキスタンがインドと互して戦争を行えるような国ではないためです。
インドは、やがて経済規模で中国を抜くと見られていますが、パキスタンはとても貧しい国です。また、経済的な運営がうまくいっているとはいえない国です。
実際、パキスタンは2018年10月には、IMFに対して120億ドルの支援要請を行っています。ちなみに、パキスタンがIMFに支援を求めるのはこれで13回目。国際収支では「経常赤字」「財政赤字」の双子の赤字を抱えており、外貨準備が極端に減少したために事実上のデフォルトに陥ったのです。また2017年以降、支援要請までに四度も通貨(ルピー)を切り下げる措置を行っています。
このような脆弱な経済基盤の国家が、経済的に豊かなインドと正規戦などできるはずがありません。
できるとすると、後ろ盾になっている中国からの資金援助(武器などの援助も含む)があった場合だけです。しかし、アメリカ合衆国がインド太平洋地域の安寧を重視し、中国を敵視している現状ですから、中国としてもパキスタンに援助できる状況ではありません。これ以上合衆国との対立案件を増やしたくはないでしょうからね。
「CPEC」の資金流入で持つパキスタン
パキスタンの経済は「中国頼み」という言葉に集約されます。
パキスタンは親中国で、中国・パキスタン経済回廊(China Pakistan Economic Corridor:略称「CPEC」)と呼ばれる、中国の「一帯一路」のいわばサブルーチンみたいなものから巨額の資金提供を受けている国なのです。経常収支が赤字で、外貨獲得能力がない国ですので、中国依存の経済状況はさらに深化し、資金流入が拡大する可能性が高いと考えられます。
2018年、パキスタンがIMFに資金提供を求めた際には、すぐにアメリカ合衆国が反応しました。ポンペオ(Michael Richard Pompeo)国務長官が「IMFから提供された資金を、中国への債務返済に充てない」よう釘を刺したのです。もし、これが行われたらIMFの資金が中国へ「借金返済」という名の下に流れ込むことになりますからね。「IMFの出資金と、IMFの資金の一部を構成する我が国からの出資が、中国の債権者や中国そのものの救済に使用される論理的根拠はない」(2018年07月30日:報道はロイターによる)と明確に述べました。
というわけで、パキスタンはインドと正規戦ができるような経済状態ではありません。核を持っている国ですが、それを使うわけにもいきませんから、なんとかメンツを保てる落としどころを探すしかないでしょう。
⇒引用元:『ロイター』「IMFのパキスタン支援、中国への返済充当は認めず=米国務長官」
https://jp.reuters.com/article/imf-pakistan-idJPKBN1KL00O
(柏ケミカル@dcp)