韓国のAmazon(アマゾン)といわれる通販大手『Coupang(クーパン)』について興味深い情報が出ています。
『クーパン』は創業以来一度も黒字になったことがない
『クーパン』に対する不買運動が起こされたり、物流センターが火事で失われるなど会社にとってよくない出来事が起こりましたが、同社の最大の問題は「2010年の創立以来一度も黒字になったことがない」ことです。
直近の2021年第3四半期の業績は以下のようになります。
↑『SEC』(US Securities and Exchange Commissionの略:合衆国証券取引委員会)資料のスクリーンショット。
2021年第3四半期
総売上:46億4,471万ドル(約5,343億円)
営業利益:-3億1,511万ドル(約-362億円)
当期純利益:-3億2,397万ドル(約-373億円)
⇒データ引用元:『SEC』公式サイト
売上こそ伸びたものの営業利益の赤字は拡大しています。前記しましたが、2010年の創業以来赤字を続けており、直近5年の営業利益を見ると以下のようになります。
2016年:-5,521億ウォン(約-519億円)
2017年:-6,487億ウォン(約-610億円)
2018年:-1兆1,651億ウォン(約-1,095億円)
2019年:-7,127億ウォン(約-670億円)
2020年:-5,842億ウォン(約-549億円)
2010年から2020年までで累積赤字は「4兆8,000億ウォン」(約4,608億円)。約5兆ウォンになります。
2021年巨額の資金調達を行っている
今回ご注目いただきたいのは、『SEC』から出た『クーパン』が土地・建物を担保に融資を受けている――という資料です。
10月に約1.4億ドル(約161億円)の借金をしているのですが、実は08月にも融資を受けています。
以下をご覧ください。
08月:1億6,900万ドル(約194.3億円)
⇒固定金利:3.155%
⇒満期:3年
⇒担保:1億6,700万ドル(約192億円)相当の土地・建物
10月:1億3,900万ドル(約159.8億円)
⇒固定金利:3.45%
⇒満期:2年
⇒担保:2億300万ドル(約233.4億円)相当の土地・建物
小計:3億800万ドル(約354.1億円)
合計「約3億ドル」(約354億円)の借金です。
なぜこのような巨額の資金を借りなければならないのかですが、韓国メディア『ChosunBiz』の記事では、物流センターを韓国内に建設するため、と報じています。確かに、先の火事で物流センターが焼失しましたので、代わりが必要なのは理解できます。
――保険でなんとかならないものなのでしょうか。
実はこれにはMoney1でも先にご紹介した『ゴールドマン・サックス』の資金引き上げの件が絡んでいそうです。詳細は以下の先記事を読んでいただければ幸いですが、『ゴールドマン・サックス』が引き上げるといわれた「3,000億ウォン」(約288億円)は、08・10月で調達した資金でカバーできる金額です。
なにせ赤字続きの会社なので、『ゴールドマン・サックス』が引き上げる資金プラス運転資金が必要だったものと推測できます。つまり、『クーパン』は手元のキャッシュが細っているのではないかと。
さらに、『クーパン』は2021年03月に合衆国市場に株式を上場した際に「12億5,000万ドル」(約1,437億円)を限度とする融資を受ける予定でした。
この融資には「上場によって最低20億ドルを調達すること」という条件が入っていたのですが、これをクリア。で、03月には10億ドル(約1,150億円)の融資を受けました。
しかし、09月末時点でこの融資の限度額(12億5,000万ドル)まで使い切ったことが『ChosunBiz』によって報じられています。
つまり、上場以降、『クーパン』は少なくとも12億5,000万ドルの融資、加えて上掲の「土地・建物担保の融資計約3億ドル」の借金を重ねていることになります。
『クーパン』の株価は上場来最低に落ちた
では、合衆国市場に上場した『クーパン』の株価がどのようになっているのか見てみましょう。以下をご覧ください(チャートは『Investing.com』より引用)。
『クーパン』の株価は上場以来最低の「25.69ドル」まで下がっています。黒字が出せず、また借金を重ねるばかりなので、この株価もいたしかたないでしょう。
果たして『クーパン』は本当に大丈夫でしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)